水泡音と捻髪音はどんな音?原因疾患は?【呼吸音は4種類で十分】 | コキュトレ
聴診・呼吸音コース

捻髪音と水泡音の原因疾患は?どんな音?【実は呼吸音は4種類で十分】

  • リハビリ職
  • 医師
  • 看護師
2020年10月12日 (更新日:2023年3月26日)
sheep

捻髪音ってどんな音、原因疾患は?

sheep

水泡音ってどんな音、原因疾患は?

sheep

音が聞き分けれらないです

sheep

音が多くて覚えられないです

こんな疑問に答えていきます。

この記事の内容

  • 捻髪音の聞こえ方と原因疾患
  • 水泡音の聞こえ方と原因疾患
  • 実は呼吸音は4種類で十分
  • 呼吸音のキレイな聞こえ方。

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

呼吸音って、種類も多くて覚えにくいですよね。でも、専門医でない限りは大事なのは4つくらいには絞ることができます。この記事では、①捻髪音、②水泡音の2つを解説していきます。

実際の音も聴けます!

この記事を読むことで、代表的な音である捻髪音と水泡音を聞き取れたり、何の病気かわかるようになります。

普段聴診器を持つ機会がある人は、ぜひ参考にしてみてください!

  1. 音を3つの軸で考えよう
  2. 捻髪音(ファインクラックルズ)は高音・断続性・吸気
  3. 捻髪音(ファインクラックルズ)の原因疾患:間質性肺炎
  4. 水泡音(コースクラックルズ)は低音・断続性・吸気中心
  5. 水泡音(コースクラックルズ)の原因疾患:肺炎
  6. 呼吸音は4種類だけ覚えればいい
  7. 呼吸音をキレイに聞きとるコツ
  8. まとめ

youtubeでも解説しています。動画の方がいい方はこちらもご覧ください!

音を3つの軸で考えよう

sheep

音がうまく聞き分けれらないです

呼吸音はいろんな音があって区別が難しいですよね。水泡音と捻髪音の音の解説に入る前に、呼吸音自体について理解しましょう。

漠然と聞いていても分かりにくいので、3つの軸に分けて考えてみるのがいいです。

  • 音の高さ:低音、高音
  • 音が途切れるか:途切れない(連続性)、ぶつぶつ(断続性)
  • いつ聴こえるか:吸気、呼気

図で表すとこんな感じです。

聴診、呼吸音、水泡音、捻髪音

では、捻髪音がどんな音か見ていきましょう。

捻髪音(ファインクラックルズ)は高音・断続性・吸気

sheep

捻髪音ってどんな音?

捻髪音は、直感的には紙風船をふくらましている音です。

このイメージを強く持ってください。

聴診、呼吸音、水泡音、捻髪音

これで、だいたいは説明がつきます。

紙風船に息を吹き込む間、「ばり」「ばり」と音が途切れます。一息で吹き込んでいるあいだ「ばーーーーーーーり」とはならないですね。

つまり、これは断続性ということです。

ちなみに、例えば笛を一息で吹き込んでいる間は、「ぴーーーーーーーー」っと途切れずに音が聞こえます。これが逆に「連続性」と言われる音です。

音が鳴るのは風船に空気が入る時、つまり病変部に空気が入る吸気時です。

音はやや高音です。これは後で出てくる水泡音と比べると分かりやすいので、記事の後半で解説しますね。

聴診、呼吸音、水泡音、捻髪音
この音の性質があるため、別名では細かい断続性ラ音と呼ばれます。長いので、実務では捻髪音かファインクラックルズで十分です。

実際に聞いてみましょう。

捻髪音(ファインクラックルズ)の原因疾患:間質性肺炎(肺繊維症)

捻髪音がなるのは、肺が紙風船のようにパリパリになる病気。

具体的には間質性肺炎(肺繊維症)です。そのほかにも、じん肺、放射線肺臓炎、薬剤性肺炎、過敏性肺臓炎、マイコプラズマ肺炎などがあげられます。

聴診、呼吸音、水泡音、捻髪音

捻髪音は、高音、断続性、吸気。原因疾患は間質性肺炎

sheep
捻髪音は分かった。でも他の音と聞きわけることができない。

では、次に水泡音の聞こえ方を解説します。

水泡音(コースクラックルズ)は低音・断続性・吸気中心

sheep

水泡音ってどんな音?

水泡音は、直感的にはストローで水をぶくぶくしている音です。このイメージを強く持ってください。

聴診、呼吸音、水泡音、捻髪音

このイメージで、大体は説明がつきます。

息を吹き込む間、「ぶく」「ぶく」と音が途切れます。一息で吹き込んでいる間「ぶーーーーーーく」とはならないですね。

つまり、断続性です。

ちなみに、例えば笛を一息で吹き込んでいる間は、「ぴーーーーーーーー」っと途切れずに音が聞こえます。これが逆に「連続性」と言われる音です。

音がなるのは水に空気が入る時、つまり病変部に空気が入る吸気時です。

音は、記事の前半に出てきた捻髪音に比べてやや高めです。比べると分かりやすいので、[捻髪音(ファインクラックルズ)は高音・断続性・吸気]も見返してみて下さい。

聴診、呼吸音、水泡音、捻髪音

この音の性質があるため、別名では粗い断続性ラ音と呼ばれます。長いので、実務では水泡音かコールクラックルズで十分です。

実際に聞いてみましょう。

水泡音(コースクラックルズ)の原因疾患:肺炎

水泡音がなるのは、肺に水がたまる病気。

具体的には肺炎が代表的です。

聴診、呼吸音、水泡音、捻髪音

水泡音は、低音、断続性、吸気メイン。原因疾患は肺炎

呼吸音は4種類だけ覚えればいい

sheep

呼吸音って、音が多くて覚えられないです

1年目のころに分かりにくいのって、これが大きな原因だと思います。実際、呼吸音って全体を見渡すとこれくらいあります。

肺の聴診に関する国際シンポジウム」より改変

種類も多いし、名前も多くて覚えられないですよね。

まず異常音のことを副雑音といいます。その中で、肺が原因のものがラ音。そして、それが連続性と断続性に分かれます。

って、やっぱり複雑!

ただ、実際に大事なものは、下の4つくらいです。

  • 水泡音(コースクラックルズ、Coarse Crackles)
  • 捻髪音(ファインクラックルズ、Fine Crackles)
  • ウィーズ(Wheeze)
  • ストライダー(Stridor)

今回はそのうち、水泡音と捻髪音を解説しました。

呼吸音は全部覚えなくても、この4つがわかれば実務ではほぼOKです!

ほかの2つが詳しく見たい人は[ウィーズとストライダーはどんな音?原因疾患は?【呼吸音は4種類で十分】]もご覧ください。

音をキレイに聞く方法

sheep

音の種類は分かったけど、そもそも呼吸音なのか皮膚とすれた音なのかすら分からない

最初のころって、呼吸の音なのか皮膚が擦れている音なのかよく分からなかったりしますよね。

慣れれば少しずつは分かってくるのですが、それ以前に余計な雑音が入りにくくすることが大事。これでだいぶ聞き取りやすくなります。

具体的には、次のような方法。

  • 服を脱がせる(服と擦れる音が入らないようにする)
  • 聴診器のピースの端をもつ(手と聴診器が擦れる音が入りにくくする)
  • 聴診器をぴったり皮膚に当てる(皮膚と擦れる音が入りにくくする)

詳しくは[呼吸音で背中も聴診する理由【聴診で聞きやすくなるコツも紹介】]で解説しています。

まとめ

今回の内容を振り返ります。

  • 水泡音は、低音、断続性、吸気メイン。原因疾患は肺炎。
  • 捻髪音は、高音、断続性、吸気。原因疾患は間質性肺炎。
  • 水泡音、捻髪音、ウィーズ、ストライダーが分かれば呼吸音は十分。

図にもまとめました。

呼吸音聴診、水泡音
呼吸音聴診、捻髪音
sheep

何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。

学んだ記憶を定着できるよう、コキュトレではクイズも用意しています。

sheep

もっと気軽に見たい!

気軽に見たい人に向けて、Instagramでも同じ内容を発信しています。

sheep

もっと得意になりたい!

もっと得意になりたい人は、書籍がオススメです。また、それにぴったりの職場で働くのももっと大事です。

sheep

勉強会での準備が大変

勉強会の準備って、とにかく大変ですよね。準備自体が自分のためになるのは分かるけど、たいてい10時間以上かかったりするし。

  • このブログ記事の元ネタのパワーポイントをnoteでダウンロードできます。[こちら]からご覧ください。

以上、参考になればうれしいです。明日からの聴診にぜひ活かしてみてください!