聴診ではなんで背中も聴く必要があるの?
こんな疑問に答えていきます。
この記事では、以下を解説します。
- 背中から聴診する理由
- 呼吸音を聴診する時の部位
- 雑音をすくなく聴診するコツ
執筆者:ひつじ
- 2009年 研修医
- 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
- 2017年 呼吸器内科専門医
聴診器の持ち始めのころは、胸部のどこを聞くかっていう部分から分からなかったりしますよね。あと、皮膚が擦れている音なのか分からなかったり、ちゃんときけているかすら分からないってのも多いです。
この記事を読むことで、背部から聴診する理由だけでなく、聴診する部位や、呼吸音が他の雑音なく聞きやすくなります。
普段聴診する人は、ぜひ参考にしてみてください!
Youtubeでさらに詳しく解説しています。動画の方がいい方はこちらもご覧ください!
前だけでなく背中も聴く理由
理由は、特に下葉などほとんど背中からしか聞こえない部位があるからです。
左の図が前から、右の図が背中からです。下葉は前からはあまり見えないのは分かりますでしょうか。
下葉によく起こる疾患は前からでは聞き逃してしまいます。誤嚥性肺炎、間質性肺炎などはその代表です。なので、しっかり背部からも聞くようにしましょう。
では、続いてはその点を説明します。
呼吸音を聴診する時の部位
結論からいうと、「左右対称に、最低6か所聴く」です。
左右を比較するため、片方聞いたら反対側も聞きます。これを、上から順番に、上・中・下と行います。
肺の全体をきちんと聞くため、これくらいが最低必要です。
聴診のコツ5選【余計な雑音も減らせる】
呼吸音なのか皮膚のすれた音なのか分かりにくいです。
最初は、皮膚がこすれた音なのか分からないっていうの、あるあるですよね。
あと、異常音があってもちゃんと聞けているか、不安になりますよね。
ここでは、呼吸音をきれいに聴診するを5つお伝えします!
- 服を脱がす
- ぴったり押し当てる
- 聴診器の端を持つ
- 1つの部位で1つの呼吸を聴診する
- 吸気・呼気を全部聴く
では、それぞれ見ていきます。
服を脱がす
服を着ていると、服とすれる摩擦音も聞こえてしまいます。服を脱いだ方が、余計な音が入りずらくなります。
ぴったり押し当てる
ぴったり当てる方がこすれる音が少ないです。
肋骨の凹凸も、少ないところの方が雑音は聞こえにくいです。
聴診器の端を持つ
聴診器のいろんな場所をこすりながら音を聞いてみて下さい。聴診器のピースのゴムの部分が一番音が小さいはずです。
つまり、そこを持つと、指と聴診器のあいだでの摩擦音が入りにくくなります。
1つの部位で1つの呼吸を聴診する
呼吸の途中で次の部位に移ると、異常音を聞き洩らしてしまうかもしれません。
1つの部位で1つの呼吸が基本です。
吸気・呼気を全部聴く
吸気と呼気を、最初から最後まで聞くようにしましょう。
なぜなら、音の種類によって聞こえにくいタイミングがあるから。
例えば捻髪音は、吸気の最後の方がよく聞こえます。
なので、吸気と呼気を、最初から最後まで聞きましょう。
まとめ
では、内容を振り返ります。
- 呼吸音を聴診する部位は、「左右対称に最低6か所、前だけでなく背中も」
- 呼吸音を聴診するコツは、①服を脱がす、②ぴったり押し当てる、③聴診器の端を持つ、④1つの部位で1つの呼吸を聴診する、⑤吸気・呼気を全部聴く
何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。
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以上、参考になればうれしいです。明日からの聴診にぜひ活かしてみてください!