ネーザルハイフロー(Nasal High Flow)とは?【最も大事な機能を解説】| コキュトレ
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ネーザルハイフロー(Nasal High Flow)とは?【最も大事な機能を解説】

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2020年12月11日 (更新日:2023年5月9日)
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ネーザルハイフローって結局何ができるの?

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他にどんな特徴があるの?

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ベンチュリーマスクとかとどう違うの?

こういった疑問に答えていきます。

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

この記事を読むことによって、Nasal High Flowがどういう患者さんに使うべきなのか、判断できるようになります!

  1. ネーザルハイフロー(Nasal High Flow)とは
  2. ネーザルハイフロー(Nasal High Flow)の他の特徴
  3. 適応疾患は?どんな疾患に使うの?
  4. 使用すべきでない場面は?
  5. 使用上の注意点は?
  6. 他の酸素マスクとの違い
  7. まとめ

Youtubeでも解説しています。動画の方がいい方はこちらもご覧ください!

ネーザルハイフロー(Nasal High Flow)とは

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ネーザルハイフローって結局何ができるの?

一言でいうと、大量の酸素と強力な加湿で、口が開いているのにFiO2 100%も投与できる器具です。

こんな見た目をしています。

酸素療法、ネーザルハイフロー

では、どんなことができるのでしょうか?ここから解説していきます。

最も大事な機能

Nasal High Flow®に特徴的な機能はいくつかありますが、なんといっても「口が自由」かつ「 FiO2 100% 」というのが一番のウリです。

代表的な酸素器具のなかで特に酸素を多く与えられるものは、リザーバーマスク、Nasal High Flow ® 、NPPV、人工呼吸器あたりです。

これらの酸素を多く与えられる器具のうち、Nasal High Flow®のみが口の自由がききます。

酸素療法、ネーザルハイフロー

「口が自由」かつ「 FiO2 100% 」というのが一番のウリ

強さのヒミツ

これだけのFiO2を達成できるのは、まず30~50L/分の酸素を与えることができるから。

酸素療法、ネーザルハイフロー

そして、強力に加湿をかけることができるからです。

筆者は加湿なしでNasal High Flow ®を体験したことがありますが、鼻が痛くてとても続けられません。

酸素療法、ネーザルハイフロー

ネーザルハイフロー(Nasal High Flow)の他の特徴

参照:日本呼吸器学会 酸素療法マニュアル

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ベンチュリーマスクとかとどう違うの?

そのほかに、こういった特徴があります。

  • 軽くPEEPをかけられる
  • 気道粘膜の繊毛の動きを改善する
  • 鼻咽頭の死腔にたまった呼気を洗い流す

軽くPEEPをかけられる

皆さんが息を吐いたとき、肺はしぼみます。だからと言って、完全にぺちゃんこになってしまったら、息をするのが大変。

少しはふくらんでないといけません。そのため、外から圧力をかけてあげます。この圧力がPEEPというわけです。

日本語では、呼気終末陽圧型人工呼吸です。略さずに言うとPositiveEnd-expiratory pressureです。

ただし、かかる圧力はわずかで、1~3cmH2O程度。これは患者さんに効果があるかも微妙なわずかな量です。

気道粘膜の繊毛の動きを改善する

加湿した気体をたくさん流すことによって、気道粘膜を潤すことができます。これによって、痰や細菌を外に出しやすくなります。

ただし、これも患者さんに効果があるかも微妙なわずかなものです。

鼻咽頭の死腔にたまった呼気を洗い流す

皆さんが息をすっても、肺まで空気が届かなければ酸素は取り込めません。例えば、口の中や喉の奥の空気は、呼吸をしてても酸素のやり取りには関われない部分です。

これを、死腔といいます。ここには、肺から出たけど体の外まで出られなかった二酸化炭素が、次吸うときに吸ってしまうということもあります。

ネーザルハイフローでは、大量の空気を流すことで、死腔に貯まった呼気を体の外に出すことができます。これで患者さんがより呼吸しやすくなります。

ただし、これらはおまけ程度の効果です。メインは最初に説明した「口が自由」かつ「 FiO2 100% 」と認識しておきましょう。

適応疾患は?どんな疾患に使うの?

低酸素の患者さんなら基本的には適応です。

具体的には、COPDの急性増悪、肺炎、気管支喘息、ARDS、挿管の抜管後、気管支鏡実施中、急性心不全といった場面があります。

使用すべきでない場面は?

  • 高CO2血症
  • 顔面外傷

高いCO2血症の時はCO2ナルコーシスのリスクがかなり高いです。NPPVなどの使用を検討しましょう。

使用上の注意点は?

効果はNPPVや挿管に劣る

ネーザルハイフローで救命できないと判断すれば、躊躇することなくNPPVや挿管人工呼吸に移ります。

在宅ではできない

ネーザルハイフローは大量の酸素を消費します。とても在宅では実施ができません。また、現在では在宅でのネーザルハイフローに保険適応はありません。

追記:2022年4月に新たに保険収載されました。詳しくはyoutubeで解説しています。

他の酸素マスクとの違い

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ベンチュリーマスクとかとどう違うの?

酸素を投与する器具には、大きく低流量計システムと高流量系システムに分かれます。

  • 低流量計システム:カニュラ、マスク、オキシマスク、リザーバーマスク
  • 高流量系システム:ネーザルハイフロー、ベンチュリーマスク、インスピロン

ここは説明すると若干ややこしいので、ベンチュリーマスクとインスピロンとは?何ができる?実際どう使う?をご覧ください。

他の高流量計システム(ベンチュリーマスクなど)との違い

同じ高流量系でもFiO2の違いが大きいため、ベンチュリーマスクはCO2ナルコーシスの予防に使われ、Nasal High Flow ®は強力な酸素化目的で使われます。

酸素療法、ネーザルハイフロー

まとめ

それでは、全体を振り返ります。

  • 一言でいうと、大量の酸素と強力な加湿で、口が開いているのにFiO2 100%も投与できる器具
  • 軽くPEEPをかけられたり、気道粘膜の繊毛の動きを改善させるが、おまけ程度
  • ベンチュリーマスクはCO2ナルコーシスの予防に使われ、Nasal High Flow ®は強力な酸素化目的で使われる
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何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。

そんな人のために、クイズを用意してみました。
>>ネーザルハイフロー(Nasal High Flow)とは?【クイズで学ぶ】

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ブログよりもっといいのはない?

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勉強会での準備が大変

勉強会の準備って、とにかく大変ですよね。準備自体が自分のためになるのは分かるけど、たいてい10時間以上かかったりするし。

  • このブログ記事の元ネタのパワーポイントをnoteでダウンロードできます。[こちら]からご覧ください。

以上、参考になればうれしいです。明日からの仕事にぜひ活かしてみてください!