ロンカイがわからない
胸膜摩擦音がわからない
呼吸音をさらにレベルアップしたい
こんな人へ向けて解説します。
この記事の内容
- ロンカイの音、原因疾患
- スクォークの音、原因疾患
- 胸膜摩擦音の音、原因疾患
執筆者:ひつじ
- 2009年 研修医
- 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
- 2017年 呼吸器内科専門医
ロンカイや胸膜摩擦音ってよく名前は聞くけど、最初はどの音がよくわからないですよね。でも、これらは実はハイレベルな内容。ここでは、これらの音を解説していきます。実際の音もここで聞けます。
この記事が実践できれば、ロンカイやスクォークが分かるのみでなく、あなたの聴診はかなりハイレベルになれます。
普段聴診器を持つ機会がある人は、ぜひ参考にしてみてください!
- 音を3つの軸で考えよう
- ロンカイってどんな音?
- スクウォークってどんな音?
- 胸膜摩擦音ってどんな音?
- Hamman’s Signってどんな音?
- ロンカイ、スクォーク、胸膜摩擦音が聞けたあなたはワンランク上
- 【さらにレベルアップ】Inspiratory Cracklesとは?
- まとめ
音を3つの軸で考えよう
それぞれの呼吸音の音が聞き分けられないです
呼吸音はいろんな音があって区別が難しいですよね。実際の音の解説に入る前に、呼吸音自体について見ていきましょう。
漠然と聞いていても分かりにくいので、3つの軸に分けて考えるといいでしょう。
- 音の高さ:低音、高音
- 音が途切れるか:途切れない(連続性)、ぶつぶつ(断続性)
- いつ聴こえるか:吸気、呼気
図で表すとこんな感じです。
では、呼吸音を解説していきます。今回説明するのは、これら4つです。
- ロンカイ
- スクウォーク
- 胸膜摩擦音
- Hamman’s Sign
1つずつ見ていきましょう。
ロンカイってどんな音?
ロンカイがわからない
直感的には低音の笛を吹いているイメージです。
リコーダーの「下のド」など。Wheezeと似た性質のものととらえて良いでしょう。
喘息、心不全、細い気管に痰が貯留した時などに聞こえます。
音の性質は以下の通りです。
- 音の高さ:低音
- 音が途切れるか:途切れない(連続性)
- いつ音がなるか:呼気
実際に聞いてみましょう。
スクウォークってどんな音?
吸気の最後の方で短く「きゅー」ときしむ音です。
部分的に虚脱した気道が再開通した時に聞かれます。
間質性肺炎などで多いです。
音の性質は以下の通りです。
- 音の高さ:高音
- 音が途切れるか:途切れない(連続性)
- いつ音がなるか:吸気の後半
実際に聞いてみましょう。
胸膜摩擦音ってどんな音?
臓側・壁側胸膜、つまり肺の外側と肋骨の内側がこすれたときになる音です。
よく「握雪音(あくせつおん)」と言われます。
その名の通り雪を握ったようなイメージの音です。
短くなるので断続性ラ音と似ています。
胸膜炎、癌の胸膜播種などで聞かれます。
音の性質は以下の通りです。
- 音の高さ:低音
- 音が途切れるか:途切れない(連続性)
- いつ音がなるか:吸気と呼気の両方
実際に聞いてみましょう。
Hamman’s Signってどんな音?
左の気胸などで漏れ出た空気が心臓に接したときになる音です。
心臓が収縮する時にクリックするような音が聞こえます。
縦隔気腫、左気胸で聞こえます。
音の性質は以下の通りです。
- 音の高さ:高音
- 音が途切れるか:途切れる(断続性)
- いつ音がなるか:呼吸というより心音に合わせて
ロンカイ、スクォーク、胸膜摩擦音が聞けたあなたはワンランク上
これで、全部解説しました。項目をおさらいすると、です。
改めて、異常音の図を眺めてみてください。
かなり多くてこんがらがりますよね。
でも、実際はすべて聞けなくても、水泡音、捻髪音、ウィーズ、ストライダーが聞けたら十分です。
むしろ、この記事で説明したのはワンランク上の内容。これらが聴けたあなたも聴診はかなり得意な方って思ってください。
水泡音などであいまいな部分があれば、下の記事も参考にしてみてください。
で、最近は、今までとはまた違った分類があります。次にそちらを簡単に解説します。
【さらにレベルアップ】Inspiratory Cracklesとは
今まで見てきたものとは違い、音の高さなどは気にせずに、吸気の間のいつ音が聞こえるかということでの分類があります。こういった分類も最近はあります。
例えば下の図の通りです。
吸気の間ずっと聞こえたらPan、後半に聞こえたらLate、といった感じです。
PanとLateの聞き分け
4つあるのですが、大事なのはここです。なぜなら、実はPanは水泡音、Lateは捻髪音とほぼ同じと言えるからです。
水泡音と捻髪音の違いを思い出してみてください(忘れた方はこちらもご覧ください)。
- 水泡音:吸気の間ずっと。肺炎。
- 捻髪音:吸気の後半に聞こえる。間質性肺炎。
上の図と比べると、ちょうどPanと水泡音が同じになっているのがわかりますでしょうか?
水泡音と捻髪音に迷ったとき、吸気の間ずっと聞こえるのか、吸気の後半に強くなるのかで区別をつけることができます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。最後に振り返ります。
- ロンカイ:低音、断続性、呼気。喘息、心不全、細い気管に痰が貯留した時など。
- スクォーク:吸気の最後の方で短く「きゅー」ときしむ音。部分的に虚脱した気道が再開通した時。
- 胸膜摩擦音:雪を握ったようなイメージの音。臓側・壁側胸膜、つまり肺の外側と肋骨の内側がこすれたときになる音。
- Hamman’s Sign:心臓が収縮する時にクリックするような音。左の気胸などで漏れ出た空気が心臓に接したときになる。
水泡音、捻髪音などに比べると出会う頻度は少ないですが、きちんと聞けたらかなり上級者です。
何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。
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- Instagramでの投稿は[聞けたらワンランク上の呼吸音]から。
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- オススメの書籍は[呼吸音を学ぶのにオススメの本、4選【2021年版】]にまとめています。
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以上、参考になればうれしいです。明日からの聴診にぜひ活かしてみてください!