気管支喘息のポイント総まとめ【4つの記事で解説】 | コキュトレ
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気管支喘息のポイント総まとめ【4つの記事で解説】

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2021年11月12日 (更新日:2021年9月25日)
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救急で喘息発作の患者さんを時々みるけど、内容をおさらいしたい。

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外来で喘息の患者さんを見ることがあるけど、自己流でよく迷う。

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喘息患者さんの看護ってどうしたらいいのかな。

こういった疑問を解説します。

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

この記事の内容

  • 気管支喘息の診断基準
  • 安定期の治療
  • 発作時の治療
  • 看護計画

気管支喘息を当ブログでは4記事にわたって解説しています。今回はその総まとめです。

この記事を読めば、気管支喘息のポイントはおおむね理解できます。さらに詳しく見たい人は、リンクを貼っているのでそちらもご覧ください。

  1. 気管支喘息の診断基準
  2. 安定期の治療
  3. 救急での喘息発作の対応の流れ
  4. 気管支喘息で必要な看護計画
  5. まとめ

気管支喘息の診断基準

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目
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ガイドラインでの診断基準はどうなっている?

喘息には明確な診断基準はありません。目安となっているのがこれらです。

①発作性の呼吸困難、喘鳴、胸苦しさ、咳
②可逆性の気流制限:ピークフローの日内変動>20%、β刺激薬で1秒率改善>12%かつ200ml
③気道可逆性の亢進:アセチルコリン、ヒスタミンによる気道収縮反応の亢進
④アトピー素因の存在:特異的IgE抗体
⑤気道炎症の存在:喀痰中の好酸球
⑥他疾患の除外

1、2、6が重要で、他は補助程度です。

喘息予防・管理ガイドライン2018/日本アレルギー学会より

大事なのは、症状、ピークフロー、他疾患の除外ですね。詳しく見ていきます。

症状

症状はこんな特徴があります。

  • 咳嗽
  • 喘鳴
  • 夜間に多い
  • 1日の中で変動がある
  • 痰は少ない

ピークフロー

ピークフローとは平たく言うと、「思いっきり息を吐いたときに、一番速い気流の速度」です。

測り方はこちらの図の通り。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

他疾患の除外

特にウィーズが聞こえる疾患の鑑別が大事。ウィーズが聞こえるのは具体的にはこれらです。

  • 気管支喘息
  • COPD
  • 心不全

区別するポイントを図にまとめました。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

関連記事:気管支喘息の診断基準は?【結論:症状+スパイロメトリーです】

安定期の治療

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喘息の患者が外来で吸っている薬の区別がつかない。

ガイドラインには複雑な表が載っているのですが、こちらをポイントにまとめるとこうなります。

検査や症状から重症度を判断する

こちらの表になります。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

喘息予防・管理ガイドライン2018/日本アレルギー学会より

最初は重症度に応じた治療

こちらの表になります。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

喘息予防・管理ガイドライン2018/日本アレルギー学会より

ただ、これも複雑だし毎回の外来では難しいですよね。

こんな感じにするとシンプルだし、大きく外すことはないです。

  • 楽そう、発作すくない→ICS
  • 症状はほどほど、発作は時々→ICS/LABA
  • しんどそう、発作も多い→ICS/LABA/LAMA

効果が不十分なら上乗せしていく

下の図のように、効果が不十分なら上乗せしていきます。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

逆に落ち着いていたら、減らしていきます。減らすときはゆっくり、3か月おきくらいでいいです。

一番大事なのは吸入ステロイド薬

一番大事なのはステロイドです。なので、よっぽど落ち着いていないかぎり、最低限入れていていいでしょう。

なお、吸入薬は以下にまとめておきました。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目
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関連記事:気管支喘息の治療薬【安定期と発作時に分けて考えるのがポイント】

救急での喘息発作の対応の流れ

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救急で喘息発作の患者さんを時々みるけど、内容をおさらいしたい。

ポイントはこんな感じ

状態を見る(発作強度の分類)

ガイドラインでの表をお見せします。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

喘息予防・管理ガイドライン2018/日本アレルギー学会より

ただ、複雑で救急では難しいですよね。下の方法でするのが簡単です。

  • 横になれる→小発作
  • 横になれない→中発作
  • 意識障害、SpO2<90→大発作

身体所見などで他の疾患を除外

特に大事なのは、気管支喘息と同じくウィーズが聞こえるものです。具体的にはCOPD、急性心不全です。

それぞれ、下の図のような特徴があります。

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まず短時間作用型β刺激薬

急性期の治療は、重症度がどうであれまずは短時間作用型β刺激薬です。略してSABAといいます。

救急ではなかなかしんどくて、ネブライザーを使用することが多いです。

改善がなければ追加治療を行う

具体的にはこれらです。

  • ステロイドの全身投与
  • テオフィリン
  • アドレナリン
  • マグネシウムの点滴

処方例は、[気管支喘息での発作の強度を判断する方法【治療も合わせて解説】]にまとめてあるので参考にしてみて下さい。

問診で普段の状況も把握する

具体的にはこのあたりを聞きます。

何歳から?
アレルギーは?
普段の治療内容は?
副作用は?
1年以内の救急受診は?
最近1カ月の発作は?
今回の発作はいつから?
きっかけ?風邪?寒冷?

関連記事:気管支喘息での発作の強度を判断する方法【治療も合わせて解説】

気管支喘息で必要な看護計画

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喘息患者さんの看護ってどうしたらいいのかな。

関連記事:気管支喘息で役立つ看護計画

重症化のサインを見逃さないように

どの呼吸器疾患でも同じですけど、重症化を見逃さないことがまずは大事。

気管支喘息なら、呼吸状態、Vital Signsなどです。

観察項目(OP)

項目を列挙します。

  • 呼吸状態(呼吸音、喘鳴、努力呼吸の有無、胸郭、呼吸筋)
  • Vital Signsの変化(呼吸回数)、意識状態、顔色、チアノーゼ
  • 症状:呼吸困難(持続時間、頻度、程度)、咳嗽、喀痰(色、粘度)
  • 検査データ(血液検査、胸部レントゲン、CT)
  • 治療内容、治療の効果と副作用
  • 精神的誘因(興奮、ストレス)

ケア項目(CP)

ケア項目で必要なのはこれらです。

  • 酸素吸入(必要性や注意事項の説明、マスクの圧迫感などの傾聴)
  • 喀痰:排出(体位ドレナージ、スクイージング)、喀痰吸引、加湿
  • 薬物療法の確実な実施(内服、薬液吸入、ネブライザー)
  • 食事の栄養補給、水分の補給、睡眠確保、身体の清潔、体位の工夫
  • 呼吸困難に伴う不安や恐怖心の軽減(傾聴、環境整備など)
  • 感染予防(特に薬剤耐性菌が検出されている場合)

教育項目(EP)

教育項目がこれらです。

  • 吸入器の使用方法
  • 発作が出ていない時にも吸入を行うこと
  • 上気道感染予防
  • 必要な活動の制限:仕事量、運動、趣味など

まとめ

というわけで、最後に記事紹介です。

また、コキュトレではクイズも用意しています。

こちらで核となる部分をサクっと把握しちゃいましょう。ぜひ、参考にしてみてください!