気管支喘息の治療薬【安定期と発作時に分けて考えるのがポイント】 | コキュトレ
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気管支喘息の治療薬【安定期と発作時に分けて考えるのがポイント】

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2021年10月18日 (更新日:2021年11月20日)
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気管支喘息の治療ってどうしたらいい?

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いろいろ種類があって区別ができない

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吸入薬が多くて混乱する

こういった疑問を解説します。

当記事の内容

  • 気管支喘息の治療
  • 吸入器の選び方

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

気管支喘息の治療薬って、種類が多くて複雑ですよね。呼吸器内科をやってる自分も、多すぎてしんどいって思うくらいなので、勉強をする人は大変だと思います。

ここでは気管支喘息の安定期の治療について解説します。普段、喘息に関わる方はぜひ参考にしてみてください。

  1. 気管支喘息の治療薬【安定期と発作時に分けて考えるのがポイント】
  2. 安定期の治療【重症度に応じて吸入ステロイドから上乗せしていく】
  3. 吸入器の選び方・使い方
  4. 発作の時の治療
  5. まとめ

気管支喘息の治療薬【安定期と発作時に分けて考えるのがポイント】

気管支喘息でのまず最初に抑えて欲しいのは、安定期と発作時に分けて考えるということ。

患者さんも、ここを理解していないから、途中で治療をやめちゃうって人がいます。

発作が起きているときは、患者さんも治療をしようって気にもなります。

でも、喘息は安定期にしっかり吸入をして発作を予防することが大事。

これを怠って発作を重ねると、実はそれだけ肺にダメージが蓄積されて治りにくくんるんです(専門的にはリモデリングっていいます)。

安定期と発作時に分けて考える

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まずは安定期の治療を教えて

では、そこから見ていきましょう。

安定期の治療【重症度に応じて吸入ステロイドから上乗せしていく】

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気管支喘息の患者さんを診ることになったけど、どんな治療になるのかな?

要点をまとめると、このあたりとなります。

  • 検査や症状から重症度を判断する。
  • 重症度に応じた治療を行う。
  • 一番大事なのは吸入ステロイド薬。
  • 効果が不十分なら上乗せしていく。
  • 上乗せは以下の順番が多い:ステロイド→長期間作用型β刺激薬→長期間作用型抗コリン薬→ロイコトリエン拮抗薬→テオフィリン→ステロイドの順に上乗せしていくことが多い

ここから詳しく解説していきます。

重症度の判定のしかた

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重症度はどう判断する?

これは、ガイドラインの表を見るのが早いです。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

この後、治療ステップに応じて治療薬を選んでいきます。

治療を開始する時の薬剤

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重症も判定したけど、どの治療から始める?

重症度を判定したら、次に開始する時の薬を選びます。

これも、ガイドラインの表を見る方が早いです。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

かなり複雑ですよね。毎回見返すのは難しいかもしれないので、確認できなければ下のように単純化しても大きくは間違いないです。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

あと、喘息の治療では略称が良く出るので押さえてください。

  • ICS:吸入ステロイド薬
  • LABA:長期間作用型β刺激薬
  • LAMA:長期間作用型抗コリン薬
  • LTRA:ロイコトリエン受容体拮抗薬

ここで、いくつか抑えてほしいポイントがあります。

  • 一番大事なのは吸入ステロイド薬(ICS)
  • 長期間作用型β刺激薬(LABA)の単独では、むしろ経過を悪化させる

この2つはかなり大事です。覚えてください。

一番大事なのは吸入ステロイド薬(ICS)
長期間作用型β刺激薬(LABA)の単独では、むしろ経過を悪化させる

最初の治療が不十分だった場合

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最初の治療では効果が不十分だったけど、どうしたらいい?

ステロイドで効果が不十分なら、他の薬剤を上乗せしていきます。

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具体的にどんな薬を追加していくの?

吸入ステロイド薬→長期間作用型β刺激薬→長期間作用型抗コリン薬→ロイコトリエン受容体拮抗薬→テオフィリン→ステロイドって順番が多いです。

図にもまとめます。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

絶対的なものじゃないので、患者さんに応じて調整してください。

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症状も落ち着いているんだけど、治療は弱めていいの?

同一治療継続3~6ヶ月で落ち着いていたらステップダウンしてみていいです。

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表なんて覚えられないし、外来でどうやって処方しよう?

症状が軽そうだったら吸入ステロイド単独にして、重そうなら、長期間作用型β刺激薬、長期間作用型抗コリン薬を併用するってすれば、大きく間違いはないでしょう。

具体的な処方例

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吸入薬って具体的にどんなものがある?

たくさんの種類があります。ここでは一覧にして紹介します。

吸入ステロイド薬(ICS)

下の表にまとめます。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

吸入ステロイド薬/長期間作用型β刺激薬(ICS/LABA)

下の表にまとめます。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

吸入ステロイド薬/長期間作用型β刺激薬/長期間作用型抗コリン薬(ICS/LABA/LAMA)

下の表にまとめます。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

内服薬

内服薬での代表的なものをまとめておきます。

  • ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA):プランルカスト(オノン™)、モンテルカスト(キプレス™、シングレア™)
  • テオフィリン薬:テオフィリン徐放錠(テオドール™、ユニフィル™)
  • ステロイド:プレドニン™

使い方の注意点は以下の通り

  • ステロイドは基本的には1週間程度の短期間での投与を目指します。どうしても長期化する時は必要最小限。

難治性の気管支喘息の治療

ICS、LABA、LAMAでもコントロール不良の方には以下のものも検討します。

特異的IgE抗体陽性かつ血清総IgE 30~1500 IU/ml

アトピー型です。処方はこちら。

  • 抗IgE抗体:オマリズマブ(ゾレア™)

好酸球150~300/μL以上か、喀痰中好酸球>3%

好酸球性気道炎症です。

  • 抗IL-5抗体:メボリズマブ(ヌーカラ™)
  • 抗IL-5Rα抗体:ペンラリズマブ(ファセンラ™)
  • 抗IL-4/IL-13R抗体製剤:デュピルマブ(デュピクセント™)

種類によりますが、それぞれ2~4週間に1回の皮下注射を行います。高額で、投与量にも寄りますが3割負担でも5万円以上かかります。これは患者さんに事前に説明すべきです。

施設によって取り寄せが必要だったり、申請が必要だったりするでしょう。

気管支サーモプラスティ

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

気管支鏡で気管の粘膜を65℃で温める治療です。

喘息で肥厚した粘膜を減少させるって効果だそうですが、このあたりはまぁ覚えなくていいでしょう。

行う上では、このあたりがポイントです。

  • 対象:18歳以上の重症喘息患者
  • 3週間の間隔をあけて、合計3回入院して行う
  • 非常に高額で、1回の治療で50万円以上かかる。
  • 高額療養費制度の利用が必須。

あと、行える病院が限られています。施設は[チェスト株式会社 気管支サーモプラスティ導入医療機関一覧]から見ることができます。

行える施設にはこういった基準があります。

  • 適応患者の選定:呼吸器学会専門医かアレルギー学会専門医
  • 実施:内視鏡学会専門医の指導の下、入院で行う

検査や症状から重症度を判断する。
重症度に応じた治療を行う。
一番大事なのは吸入ステロイド薬。
効果が不十分なら上乗せしていく。
上乗せは以下の順番が多い:ステロイド→長期間作用型β刺激薬→長期間作用型抗コリン薬→ロイコトリエン拮抗薬→テオフィリン→ステロイドの順に上乗せしていくことが多い

吸入器の選び方・使い方

吸入薬の選び方

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同じ吸入ステロイド薬でもたくさんある。どれを選んだらいい?

ここで、吸入薬の一覧表をお見せします。

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

吸入薬でもたくさんあって、覚えるのもうんざりしますよね。

ここでいくつかポイントを紹介します。

単剤か合剤か

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

例えば、吸入ステロイド薬(ICS)や長期間作用型β刺激薬(LABA)といった単剤か、吸入ステロイド薬/長期間作用型β刺激薬(ICS/LABA)といった合剤かです。自分が患者さんなら吸入の少ない方がいいですね。

ドライパウダーか噴霧器か

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

ドライパウダーは、その名の通り細かい粉を吸い込むものです。多少の吸入力がいります。噴霧器は、その名の通り霧を一瞬出してくれるもので、タイミングを器具に合わせなければならなりません。

なるべく器具も揃えたい

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

図の縦軸は、すべて器具の種類の名前です。横軸が吸入薬の種類です。

例えばICS/LABAからICS単剤になるなどれば、吸入器の数も増えるし面道ですよね。

なるべく1日1回のものを選びたい

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

図は1日1回のものを示したものです。

自分が患者さんなら、1日2回より1回がいいですね。

カプセルを使うか

気管支喘息、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

ものによっては、カプセルをセットして吸入するものもあります。セットする手間で好まない人が多いですが、中には吸入している感じが強くて好きという人もいます。

ドライパウダーか噴霧器か
単剤か合剤か
なるべく器具も揃えたい
なるべく1日1回のものを選びたい
カプセルを使うか

吸入薬の使い方

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吸入薬はどう使ったらいい?

これは、環境再生保全機構のホームページが分かりやすいです。
>><吸入器別>正しい吸入方法 | 環境再生保全機構

動画もあるので、ぜひ参考にしてみてください。

発作の時の治療

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安定期の治療が盛りだくさんでしんどい

発作の時の治療は、安定期の治療よりだいぶシンプルです。安心してください。

短時間作用型β刺激薬(SABA)

治療薬はSABAです。この一択と思ってください。

具体的な薬剤が以下です。

噴霧器サルブタモール(ベネトリン™)
プロカテロール(メプチン™)
ドライパウダープロカテロール(メプチン™)

小児は1回1吸入、大人は1回2吸入です。20分程度あけて再吸入可能です。

以上!安定期に比べるとかなり簡単です。

発作時の治療は短時間作用型β刺激薬(SABA)の一択

まとめ

それでは、内容を振り返ります。

気管支喘息の治療は、安定期と発作時に分けて考えるのがポイントです。

安定期の治療でのポイントはこれら。

  • 検査や症状から重症度を判断する。
  • 重症度に応じた治療を行う。
  • 一番大事なのは吸入ステロイド薬。
  • 効果が不十分なら上乗せしていく。
  • 上乗せは以下の順番が多い:ステロイド→長期間作用型β刺激薬→長期間作用型抗コリン薬→ロイコトリエン拮抗薬→テオフィリン→ステロイドの順に上乗せしていくことが多い

吸入器を選ぶポイントはこれら。

  • ドライパウダーか噴霧器か
  • 単剤か合剤か
  • なるべく器具も揃えたい
  • なるべく1日1回のものを選びたい
  • カプセルを使うか

発作時の治療は短時間作用型β刺激薬(SABA)の一択です。

以上、参考になれば幸いです。普段、喘息の患者さんと関わることがある方は、明日から参考にしてみてください。

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何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。

というわけで、クイズを用意してみました。

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もっと得意になりたい

さらに詳しく知りたい人は書籍での勉強がオススメです。

まずは、手持ちの呼吸器内科の本があれば、そこの気管支喘息のページを読むのがいいです。そこからさらに詳しく見たい人には、この本が間違いなくオススメ。

エビデンスを大切にしながらも、吸入薬の使い方など実践的な内容も十分に触れられています。分かりやすくていいです。