CO2ナルコーシスの治療【結論:予防が大事だけど起こればNPPV】 | コキュトレ
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CO2ナルコーシスの治療【結論:予防が大事だけど起こればNPPV】

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2021年4月10日 (更新日:2021年6月3日)
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この間、目の前でナルコーシスが起こったけど、担当の先生がぱっと治療していった。次自分の前で起こった時にできる自信がない。

こういった疑問にお答えします。

この記事の内容

  • CO2ナルコーシスの治療
  • CO2ナルコーシスの症状
  • CO2ナルコーシスでの酸素投与のやり方

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

CO2ナルコーシスは起こると怖いですよね。目の前で呼吸状態が悪くなれば、あせりもします。

でも、実は予防はそこまで難しくありません。ポイントをおさえれば、かなり防ぐことができます。

この記事を読めば、ナルコーシスを起こさないようにしたり、起こしてもきちんと治療できたりします。

CO2ナルコーシスを少しか見たことないって人は、ぜひ参考にしてみてください。

  1. CO2ナルコーシスの治療【結論:予防が大事だけど起こればNPPV】
  2. CO2ナルコーシスとは?なぜ起こる?
  3. CO2ナルコーシスの症状
  4. CO2ナルコーシスが起こっているとどう判断する?【血ガス】
  5. CO2ナルコーシスでの酸素投与のやり方【ベンチュリーマスクとNPPVの違い】
  6. まとめ

CO2ナルコーシスの治療【結論:予防が大事だけど起こればNPPV】

結論はこちら。

予防が大事だけど起こればNPPV

そもそも、CO2ナルコーシスが起こっちゃったけど、予防できるケースも多々あります。

そう、予防可能なのです。なので予防が一番大事。

もし仮に起こった時は、NPPVや挿管下の人工呼吸器で治していきます。

予防が大事だけど起こればNPPV

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待って!そもそもナルコーシスが何かってとこから怪しい!

では、そこも解説していきます。

CO2ナルコーシスとは?なぜ起こる?

CO2ナルコーシスは一言でいえば、

「もともと体内にCO2が貯まっていた人がたくさん酸素を吸って、意識がぼーっとしたり息がとまりそうになること」

です。

では、どうして起こるのでしょうか?

CO2の貯留がない人の場合

もともと人間は、CO2とpHで呼吸運動を調整しています。酸素はさほど関係ありません。

CO2ナルコーシス

慢性的にCO2の貯留がある人の場合

ずっと体にCO2が貯まっている人の場合、高CO2血症に慣れてしまい、代わりに低酸素血症で呼吸を調整します。

CO2ナルコーシス

その状態でたくさん酸素を吸ってしまうと、体が呼吸は必要ないと判断し、呼吸が弱くなってしまうというわけです。

CO2ナルコーシス

CO2が貯まりやすい人

では、どんな人にCO2が貯まりやすいでしょうか。

代表的なのは次の疾患。これらは慢性的にCO2が貯まっている可能性があります。

  • 慢性呼吸器疾患:COPD、陳旧性肺結核
  • 神経筋疾患:ALS(筋萎縮性側索硬化症)、重症筋無力症など
CO2ナルコーシス

一方、気胸など急激にCO2が貯まるものもあります。この場合、慢性的に高CO2血症である患者さんに比べてCO2ナルコーシスは起こしにくいとは言われています。

とはいうものの、要注意であることには変わりないでしょう。

ちなみに、高CO2を伴う呼吸不全をⅡ型呼吸不全と言います。知ってていいでしょう。

  • Ⅰ型呼吸不全:CO2正常
  • Ⅱ型呼吸不全:CO2貯留

CO2ナルコーシスは、もともと体内にCO2が貯まっていた人がたくさん酸素を吸って、意識がぼーっとしたり息がとまりそうになること。
起こしやすい病気はCOPD、陳旧性肺結核、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、重症筋無力症など。

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どんな症状が起こるの?

では、次で説明します。

CO2ナルコーシスの症状

CO2ナルコーシスの症状で大事なのはこの2つ。

  • 意識障害
  • 呼吸抑制

ここまでいくと、結構進んだ状態です。

もっと軽症の間は、頭痛、振戦、痙攣、発汗などもあります。

しかしこれらが出ないことも多く、かなりCO2が貯まってから呼吸状態の悪化で発見されることも多いです。

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ナルコーシスが起こっているってどう判断するの?

そうですね、では解説します。

CO2ナルコーシスが起こっているとどう判断する?【血ガス】

CO2が貯まる病気なので、その判断基準も血液ガスです。

特に重要なのが、この項目。

  • PaCO2上昇
  • pH低下

PaCO2がどれくらい増えたらナルコーシスになるか

PaCO2は正常が40 mmHg程度。どれくらい上昇したらナルコーシスの症状が出るかは、個人差が大きいです。

COPDの患者さんは、普段から60 mmHgや70 mmHgで過ごしている人も普通にいます。

そういった方は100 mmHgくらいまで増えないと症状がでないことも多いです。

(なんなら、100 mmHgでも普通にしている人もいます。)

あるいは、もともと40 mmHg程度の人は、70 mmHg程度でナルコーシスの症状になったりします。

CO2ナルコーシス、血液ガス

なお、経験的にですが、60 mmHg以下で意識障害や呼吸抑制まで至る場合はほとんどありません。

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こないだ血ガスを測ったら60 mmHgだったけど、あれは普段からその数値だったのかな

それを判断するのにはpHが有用です。

pHはどれくらいが目安か

pHの正常は7.4で、7.3を下回るとかなりアシドーシスです。

普段からCO2が貯まっている人は、体が調整しているので(代償といいます)、pH 7.4程度に保たれます。

一方、ナルコーシスを起こしている場合、体が調整をする時間もないのでpH 7.3以下などアシドーシスになります。

CO2ナルコーシス、血液ガス

なので、高CO2血症にアシドーシスが重なっておきていると、良くないことがおきていると考えるべきです。

ちなみに、高CO2血症にアシドーシスが重なった状態が、有名な「呼吸性アシドーシス」です。

血液ガスでは①PaCO2上昇と②pH低下が大事

CO2ナルコーシス、血液ガス

CO2ナルコーシスでの酸素投与のやり方【ベンチュリーマスクとNPPVの違い】

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じゃぁ、次そういう現場に出くわしたらどう直したらいい?

まずは予防法です。

CO2ナルコーシスの予防法

先ほど説明したみたいに、CO2ナルコーシスは防げたというケースも多いのです。

具体的には、これらの方法があります。

  • 高CO2血症になりやすい疾患があるか把握しておく
  • 普段から血液ガスを採取しておく
  • 入院中などは呼吸数を測っておく
  • 高濃度の酸素を吸入させない
  • SpO2 100%でなく90%程度で管理する。

いままでの話が分かれば、これらも伝わると思います。

なぜ予防できるか難しければ、もどって繰り返し読んでみてください。

また、慣れないとSpO2100%とかじゃないと怖いって人も多いようです。

ただ、むしろそれはナルコーシスを引き起こすだけ。SpO2 90%より100%の方が怖いです。

CO2ナルコーシス

CO2ナルコーシスが起こった場合

程度によってやることは多少変わってきます。まとめると、これらになります。

  • かるく頭痛、発汗があるくらいなら低濃度の酸素を吸入
  • 呼吸状態が悪ければNPPVか挿管下の人工呼吸
  • 原疾患の治療

症状が強くない場合

かるく頭痛、発汗があるくらいなら低濃度の酸素を吸入してもらいます。

これは、自発呼吸で軽減する可能性もあるから。

具体的には、カニュラやベンチュリーマスクです。

そして、繰り返しですがSpO2 100%でなく、90%程度を目指しましょう。

カニュラやベンチュリーマスクについては[酸素療法(カニュラ、オキシマイザーetc)の注意点は?どう使い分ける?][ベンチュリーマスクとインスピロンとは?何ができる?使い方は?]も参考にしてみてください。

症状が強い場合

これは、すでに呼吸状態の悪化や意識障害をきたしている場合です。

この時はNPPVや挿管下の人工呼吸器を開始します。

呼吸が弱いため、無理や空気を送り込んでCO2を吐き出さないと、どんどんCO2が貯まっていきます。

そして、それができるのはNPPVや人工呼吸器。カニュラやベンチュリーマスクではできませn。

CO2ナルコーシス、治療

カニュラ・ベンチュリーマスクとNPPVの違いは[酸素療法の種類と使い分け【酸素と二酸化炭素を分けて考えましょう】]も参考にしてみてください。

NPPVのモード

CO2を吐き出させるためには、それだけ換気量を増やさなければなりません。

そのため以下のモードから始めるのが王道です。

  • モード:A/C
  • IPAP:最低でも8 H2Ocm
  • EPAP:4 H2Ocm程度

それぞれの設定は[人工呼吸器の設定を初心者に解説【2つの重要な考え方】]も参考にしてみてください。

SpO2がどうしても上がらない場合

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酸素を与えすぎてはいけないのは分かったけど、高CO2と低O2はどちらが体に良くないの

それはもちろん、低O2血症です。高CO2はNPPVなどで元に戻りますが、低O2はいきすぎると脳に障害を残すかもしれません。

SpO290%くらいならいいのですが、例えば70%とか60%などめちゃくちゃ低い場合は、躊躇なく高濃度の酸素を吸わせてあげましょう。

CO2ナルコーシス、予防策

予防で大事なのは、①高濃度の酸素を吸入させない、②SpO2 100%でなく90%程度で管理すること。治療で大事なのは、①軽症なら低濃度の酸素を吸入、②呼吸状態が悪ければNPPVか挿管下の人工呼吸、③原疾患の治療。

まとめ

それでは、内容を振り返ります。

  • CO2ナルコーシスは予防が大事だけど起こればNPPV
  • もともと体内にCO2が貯まっていた人がたくさん酸素を吸って、意識がぼーっとしたり息がとまりそうになること
  • 症状は①意識障害、②呼吸抑制
  • 血液ガスでは①PaCO2上昇②pH低下が大事
  • 予防で大事なのは①高濃度の酸素を吸入させない②SpO2 100%でなく90%程度で管理する。
  • 治療は①軽症なら低濃度の酸素を吸入、②呼吸状態が悪ければNPPVか挿管下の人工呼吸、③原疾患の治療

このあたりが分かれば、CO2ナルコーシスの対応はバッチリできるようになります。参考になったって方は、ぜひ明日からの仕事に活かしてみて下さい!

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何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。

というわけで、クイズを用意してみました。
>>CO2ナルコーシスの基本的な知識【クイズで学ぶ】

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もっと急変の対応が得意になりたい

キャリアアップで最も大事なのは、働く環境だったりします。どんな症例が経験できるか、まわりの人間関係などで、力がつけられるかは大きく変わります。

この記事は、[Up To Date / The evaluation, diagnosis, and treatment of the adult patient with acute hypercapnic respiratory failure]も参考にして書きました。