COPDのポイント総まとめ【3つの記事で解説します】 | コキュトレ
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COPDのポイント総まとめ【3つの記事で解説します】

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2021年10月6日 (更新日:2021年11月13日)
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呼吸器内科をローテ中だけど、COPDの患者さんがあまり当たらない

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呼吸器の病棟に配属されたけど、COPDについて勉強したい

こういった疑問に答えます。

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

COPDを今回はまとめました。他の記事にわたっているのをまとめたダイジェスト版です。

この記事を読めば、COPDはおおむねカバーできるようになります。

呼吸器歴10年の筆者が解説します!

  1. 定義
  2. 病態
  3. 症状
  4. 身体所見
  5. 診断
  6. 治療
  7. 急性増悪
  8. 看護計画
  9. まとめ

定義

COPD、身体所見、診断基準、検査、安定期、発作、吸入、ICS、LAMA、LABA、ステロイド、看護、観察項目

COPDを一言で平たく言うと、「タバコが原因で肺の気流が悪くなる病気」です。

もう少し正確に表現したものを、ガイドラインから引用します。

タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生ずる肺疾患であり、呼吸機能検査で気流閉塞を示す。気流閉塞は末梢気道病変と気腫性病変が様々な割合で複合的に関与することにより起こる。臨床的には徐々に進行する労作時の呼吸困難や慢性の咳、痰を特徴とするが、これらの症状に乏しいこともある。

引用:日本呼吸器学会編集 COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン第5版

病態

COPDでは、気腫性病変(肺胞壁が壊れる)と慢性気管支炎(気管支の炎症)が起こっています。

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タバコによって、肺胞の壁がたくさん壊れたり、気管支炎が起こるのです。

これらによって空気の通りが悪くなり、息がうまく吐けなくなって、労作時の呼吸困難が起きます。

詳しく知りたい方は、[COPDの症状で最も重要なものは何?【結論:労作時呼吸困難】※医療者むけ]も参考にしてみてください。

症状

COPD症状

一番大事なのは労作時呼吸困難。次に、呼気で呼吸困難が強いこと。

また、COPDの患者さんは呼吸をするのにかなりエネルギーを使ったり、全身に慢性的な炎症を引き起こします。

おおもとは肺の疾患ですが、全身に疾患を引き起こします。

例えば、栄養障害、高血圧、慢性心不全、骨粗しょう症、不安・抑うつ、糖尿病、消化性潰瘍、睡眠時無呼吸症候群などが代表的です。

詳しく知りたい方は、[COPDの症状で最も重要なものは何?【結論:労作時呼吸困難】※医療者むけ]も参考にしてみてください。

身体所見

呼吸補助筋の発達、口すぼめ呼吸、樽状胸、Short Trachea(気管短縮)、下腿浮腫、経静脈怒張などです。

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詳しく知りたい方は、[COPDの症状で最も重要なものは何?【結論:労作時呼吸困難】※医療者むけ]も参考にしてみてください。

診断

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診断はスパイロメトリーで行います。具体的な基準は以下の通り。

気管支拡張薬後の1秒率(FEV1%)< 0.7

後は、喫煙歴があること、他の疾患の除外も大事。

詳しく知りたい方は、[COPDの症状で最も重要なものは何?【結論:労作時呼吸困難】※医療者むけ]も参考にしてみてください。

治療

薬物療法としては以下のものがあります。

  • 抗コリン薬(LAMA)
  • 長時間作用型β刺激薬(LABA)
  • 吸入ステロイド(ICS)

最初はLAMAかLABAのみなのが、症状が強くなるとLAMA/LABAの合剤になり、好酸球の増多などあるとICSも追加になります。

吸入療法は、別の記事[ネブライザーの使い方【薬の種類や携帯用吸入器も解説】※看護師向け]も参考にしてみてください。

非薬物治療としては以下のものがあります。

  • 禁煙
  • 呼吸リハビリテーション
  • ワクチン
  • 在宅酸素
  • NPPV

当初は禁煙やワクチンくらいだったのが、進行とともにリハビリ、在宅酸素、NPPVと上乗せされていきます。

病期の進行とともに、下の図のように治療が強化されていきます。

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詳しく知りたい方は、[COPDの症状で最も重要なものは何?【結論:労作時呼吸困難】※医療者むけ]も参考にしてみてください。

COPDの急性増悪

原因

一番多いのは感染症。それ以外では喫煙や大気汚染があります。

治療

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ABCアプローチにそって行います。

  • A:Antibiotics/抗菌薬
  • B:Bronchodilator/気管支拡張薬
  • C:Corticosteroid/ステロイド

抗菌薬は、感染が疑われる時。気管支拡張薬が一番大事で、禁忌などなければたいていの患者さんで行います。ステロイドは、入院が必要な重症患者さんで主におこないます。呼吸機能の改善などに効果があります。

詳しく知りたい方は、[COPDの急性増悪に対する治療【結論:気管支拡張薬、ステロイド、抗生剤】]も参考にしてみてください。

看護計画

ここではCOPDに必要な看護計画を解説します。

観察項目(OP)

  • 呼吸状態(呼吸音、喘鳴、努力呼吸の有無、胸郭、呼吸筋)
  • Vital Signsの変化(呼吸回数)、意識状態、顔色、チアノーゼ
  • 症状:呼吸困難(持続時間、頻度、程度)、咳嗽、喀痰(色、粘度)
  • 検査データ(血液検査、胸部レントゲン、CT)
  • 治療内容、治療の効果と副作用
  • 精神的誘因(興奮、ストレス)

呼吸状態、Vital Signs(呼吸回数)は重症になる前触れとして大事です。

ケア項目(CP)

  • 酸素吸入(必要性や注意事項の説明、マスクの圧迫感などの傾聴)
  • 喀痰:排出(体位ドレナージ、スクイージング)、喀痰吸引、加湿
  • 薬物療法の確実な実施(内服、薬液吸入、ネブライザー)
  • 食事の栄養補給、水分の補給、睡眠確保、身体の清潔、体位の工夫
  • 呼吸困難に伴う不安や恐怖心の軽減(傾聴、環境整備など)
  • 感染予防(特に薬剤耐性菌が検出されている場合)

酸素や喀痰などがCOPDでは大事。酸素療法ではナルコーシスを予防できたり、排痰では早期治癒につながったり、直接的に患者さんの経過に影響する部分です。

教育項目(EP)

  • 禁煙
  • 呼吸様式
  • 排痰法
  • 吸入器の使用方法
  • 感染予防
  • 症状が悪化したときの対処法

詳しく知りたい方は、[COPDの看護で必要な看護計画:観察項目、ケア項目、教育項目]も参考にしてみてください。

まとめ

というわけで、最後に記事紹介です。

また、コキュトレではクイズも用意しています。

COPDの情報がまとまっている本はなかなかないので、こちらで核となる部分をサクっと把握しちゃいましょう。ぜひ、参考にしてみてください!