病棟で急にネブライザーでの指示が出たけど、やったことがないから困った。何なら、吸入器で使う薬とか含めてよく分からない。
こんな疑問を解説します。
この記事の内容
- ネブライザーの使い方
- 使用での注意点
- 薬剤について
- 他の吸入器の種類
執筆者:ひつじ
- 2009年 研修医
- 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
- 2017年 呼吸器内科専門医
ネブライザーはそんなに頻回に使うわけでもないし、急に担当患者さんが使うことになったら焦りますよね。
ひとまず、その場を乗り切れるように使い方から解説します。
ただ、できるならどんな薬があるかとか、吸入の注意とかも知りたいですよね。
この記事を読めば、周辺の情報も合わせて理解できます。
病棟で吸入で困ったって人は、ぜひ参考にしてみてください!
【結論】ネブライザーの使い方
まずは動画で見るのが早いです。こちらのリンクから動画があります。
>>看護roo / 物品の確認~吸入の実施 | 薬液吸入【1】
>>看護roo / 吸入療法の実施前準備 | 薬液吸入【3】
>>看護roo / 吸入療法の実施方法 | 薬液吸入【4】
ネブライザー自体の使い方はメーカーによって微妙が違いがあります。院内に採用のものを確認してください。
ただ、共通している点は多いです。下のを参考にしてください。
- 物品を準備する:ネブライザー、マウスピース、ホース、薬剤、注射器
- 薬剤をネブライザーにいれる
- マウスピース、ホースなどをセットする
- 患者さんに吸入の方法、時間などを説明する
- 襟元をタオルで覆う
- ネブライザーのマウスピースを口元にあててもらう
- 薬剤がなくなったらスイッチを切り、ネブライザーを片付ける
ネブライザーでの注意点
ミスの起こりやすい場所はどこかある?
いくつか注意点をあげるなら、これらになります。
- 感染予防のため、使いまわしは厳禁。
- 口腔内にたまった薬を飲みこまない。
- 深呼吸を繰り返すようにする。
- 吸入して痰が出そうならその都度出してもらう。
とりあえず、使えるようになった。何とかはなるけど、もう少し詳しく教えて。
はい、では次から見ていきます。
【目的】どんな時に使うか
まずはどんな時に吸入をするかです。主にこの2つ。
- 喘息の時の気管支拡張薬を吸入する
- 喀痰を出すため去痰薬を吸入する
これらがメインです。
そのほかにも、気道や肺胞に直接薬をとどけるために下のような作用があります。
- 加湿して絨毛運動を促進する
- 気道を浄化
ただ、実際の臨床では最初の2つの感覚で使っています。
どんな薬剤があるか?
使う薬の種類を全然しりません。
では、ここで紹介します。
代表的な薬剤と、組成、溶かす生食の量も紹介します。
気管支拡張薬
使う場面は主に気管支喘息の発作時、COPDの急性増悪の時です。
発作が落ち着いていても、後述の携帯用吸入器がうまく吸えない人はネブライザーを使ったりします。
メプチン
- 成人0.3~0.5mL/1回
- 小児0.1~0.3mL/1回
- 溶媒:生食2~5ml
ベネトリン
- 0.2~0.4mL
- 溶媒:生食2~5ml
去痰薬
使う場面は、痰を出したい時。
ただし、内服で済ますことが多いので、上2つに比べると使用する場面は少ないです。
ビソルボン
- 0.2~0.4mL
- 溶媒:生食2~5ml
この間、前の病院と違うネブライザーを出された!
それは戸惑いますね。ネブライザーの種類も見ていきます。
他の吸入器の種類【ネブライザー、携帯用吸入器も解説】
大きく分けて、コンプレッサー式と超音波式があります。
それぞれの特徴はこれら。
コンプレッサー式
- 圧縮した空気を一気に出す
- 粒子径:5~15μm
- 作用する部位:咽頭や気管
超音波式
- 振動によってエアロゾルを発生
- 粒子径:0.5~5μm
- 作用する部位:肺胞
しくみは覚えなくていいです。しかし、コンプレッサー式は咽頭や気管に作用して、超音波式は肺胞に作用するって点は知ってていいです。
入院患者さんが家で使っている吸入器を持ってきた!
それは携帯用のやつですね!そちらも解説します。
携帯用の吸入器はどんなものがあるか
在宅用のネブサイザーもあるにはあるのですが、大きくて大変です。
なので、喘息の患者さんは、小型の携帯用の吸入器を処方されます。
入院時に外来で出されたものを持参したり、あるいは入院中から開始される場合もあります。
ドライパウダー型と噴霧型
大きく分けると、ドライパウダー定量吸入器(DPI)と加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)があります。
簡単に言うと、ドライパウダーは粉を自ら吸い込むもので、噴霧器はミストを吸い込むものです。
なので、ドライパウダーはある程度吸い込む力が必要で、噴霧器はミストにタイミングを合わせて吸う必要があります。
違いをまとめるとこのようになります。
ドライパウダー定量吸入器(DPI)
- 粉を自ら吸う感覚
- 吸気のタイミングを合わせる必要なし
- ある程度の吸気力が必要
加圧噴霧式定量吸入器(pMDI)
- 器具の方からミストを噴射してくれる
- 吸入力が必要ない。
- 吸気のタイミングを合わせなければならない
図でも説明します。
種類がたくさんある
携帯型の吸入器は各メーカーごとにいろんな種類のものを出しています。
かなり種類が多いので、それらを全部覚える必要はないです。
でも、いきなりものを渡されたら困りますよね。
まとめているサイトとして環境再生保全機構のサイトがオススメです。
「環境再生保全機構 吸入」で検索しても出てきます。
便利なのは、全て動画も付いていること。
分からない吸入器があれば、ここを見てみましょう。
まとめ
というわけで、内容を振り返ります。
- ネブライザーの使い方はメーカーによって微妙に違いがあるが、共通している点は多い。
- 気管支拡張薬はメプチン、ベネトリン。去痰薬はビソルボン。
- 携帯型吸入器はドライパウダー型と噴霧型がある
- 携帯型吸入器の吸い方は環境再生保全機構のサイトがオススメです。
このあたりが分かれば、ネブライザーの使い方はバッチリです。参考になった方は、明日からの仕事に活かしてみて下さい!
何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。
というわけで、クイズを用意してみました。
もっと気軽に見たい
もっと気軽に見られるよう、Instagramでも投稿しています。
- Instagramでの投稿はこちらからご覧ください。
もっと得意になりたい
さらに得意になりたい人は、書籍で学んだり、適切な働く環境に身を置くことが大事です。どんな症例が経験できるか、まわりの人間関係などで、力がつけられるかは大きく変わります。
- 呼吸器内科などを書籍で学びたい人は[呼吸器内科を学ぶのにオススメの本、9選【2021年版】]もご覧ください。
- より呼吸器が学べる職場を見つけたい人は、[看護師転職サイトのランキング【結論:大手3サイト+自分の事情に合わせて】]にまとめてみたので、ぜひ参考にしてみてください。