胸腔ドレーンバッグの仕組み【呼吸性移動とエアリークも解説】 | コキュトレ
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胸腔ドレーンバッグの仕組みを解説【ウォーターシールと吸引圧がポイント】

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2021年5月18日 (更新日:2021年6月3日)
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胸腔ドレーンの患者さんを担当するようになったけど、あのバッグが何がなんだか分からない。

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よく聞く、呼吸性移動とエアリークって何のこと

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結局、胸腔ドレーンの患者さんはどう管理すればいい?

こういった悩みを解説していきます。

この記事の内容

  • ドレーンバッグの仕組み
  • 呼吸性変動とエアリーク
  • 胸腔ドレーンの観察項目

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

ドレーンバッグって見た目も複雑で分かりにくいですよね。そこが分からないから、患者さんの管理もどうしていいか分からないし。

でも、ドレーンバッグは「水封」と「吸引圧」が分かれば、実はグッと分かりやすくなります。なので、そこから解説します。

この記事を読めば、ドレーンバッグの仕組みが分かって、さらに患者管理のポイントも分かります。

病院勤務でドレーンバッグが分からなくて困っている人は、ぜひ参考にしてください!

  1. ドレーンバッグの仕組み【水封と吸引圧がポイント】
  2. ドレーンバッグの異変?【呼吸性移動とリーク】
  3. ドレーンバッグの異変?【排液】
  4. ドレーンバッグの異変?【感染徴候】
  5. 胸腔ドレナージの管理【患者/胸腔ドレナージの観察項目】
  6. ドレーンバッグの注意点
  7. 胸腔ドレーンの抜去
  8. まとめ

ドレーンバッグの仕組み【水封と吸引圧がポイント】

では、さっそくドレーンバッグを見ていきます。

キーワードは「水封」と「吸引圧」です。この言葉の意味をしっかり理解してください。

日本でよく見るドレーンバッグは、これです。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

見た目も複雑で分かりにくいですね。

そこで、模式図にしてみました。3つの部屋があるのが分かります。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

では、左側の部屋から順番に見ていきます。

排液ボトル

一番左側の部屋です。

ここは、排液をためるところです。
胸水、血胸や膿胸とかです。

水封室

真ん中の部屋で、青い色がついています。ここは水封室で別名をウォーターシールと言います。

シンク下の排水と同じ役割

ここを理解するのに、シンク下の排水を思い浮かべてください。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

シンクの下にある曲がったホースが、実は水封室と同じ原理なんです。

これは、曲がった部分に水をためて、下水からの臭いが上がってくるのを防ぐものです。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

水封室の役割

これと全く同じ働きをしているのが「水封室」です。

患者側への空気の逆流を防いでいるのです。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

「水」で「封」をしているので「水封室」と言います。

英語で「水」は「ウォーター」、「封」は「シール」なので「ウォーターシール」となります。

注意点として、胸腔内は-15cmH2Oくらいの陰圧なので、ドレーンバッグを20cmは体の下に置いておかないと水が吸い込まれて行きます。

胸腔内は-15cmH2Oくらいの陰圧なので、ドレーンバッグを20cmは体の下に置いておかないと水が吸い込まれて行く

吸引圧制御ボトル

最後に、一番右の部屋です。

ここの役割は「吸入圧を一定に保つこと」です。

ここを模式的に表したのがこちらの図です。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

例えば吸引圧をかけると、図のように液面が動くのが分かりますでしょうか?

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

ここで持ち上がった水の高さが、患者さんにかけている吸引圧になります。

この場合、この2つの液面の差です。

なお、泡が出ていないと、水面の高さの差が分からないので意味がないです。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

泡が出ているかきちんと確認しましょう。

吸引圧制御ボトルの役割は「吸入圧を一定に保つこと」。

実物を見てみよう

もう一度実物を見てみましょう。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

最初より、役割が分かりやすくなりましたでしょうか。

ここまでの話が分かれば、胸腔ドレーンの管理はグッとやりやすくなります。

分かりづらければ、戻って分かるまで読み直してみてください。

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ドレーンバッグの仕組みはわかった。実際の管理はどのようにしたらいい?

実際の管理で大事になってくるのが、「呼吸性移動」「リーク」「排液」です。

そこを見ていきます。

ドレーンバッグの異変?【呼吸性移動とリーク】

真ん中の青いボトルである水封室で知っておくべきものが、呼吸性移動とリーク

  • 呼吸性移動:呼吸に合わせて水封室の液面が上下に動く
  • リーク:水封室に泡がでている

ここで胸腔とかの解剖がよくわからない人は、[胸腔穿刺の看護手順、必要物品ついて【10年目の呼吸器内科が解説】]を先に見てください。

少し難しいですけど、ここが分かれば後は分かりやすい内容になります。少しだけ頑張ってください。

呼吸性移動

息を吸うとき胸腔内は-15cmH2Oの圧になり、息を吐くときは-5cmH2O程度の圧になります。

患者さんが息を吸うと、水封室の液面も吸い上げられて上がります。患者さんが息を吐くと、吸い上げられる力が弱まるため、液面も下がります。

これが呼吸性移動です。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

もしドレーンチューブの先が、肺にあたっているとか詰まっているとかであれば、この液面の変動はなくなります。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

呼吸性移動がない場合は、いろんなケースが考えられます。よくあるのが次の状況。

  • ドレーン留置直後:皮下に迷入、先端が胸膜に接触
  • 気胸数日後:肺が拡張しドレーン圧迫(気胸が治癒)
  • 膿胸、血胸:ドレーン閉塞
  • そのほか:ドレーンの折れ曲がり

必ずしも悪い場合のみではなく、気胸が治癒したという良いことのサインでもあります。

リーク

リークは、つまりは胸腔内からドレーンバッグに空気が漏れている状態です。ドレーンを入れた直後は少しくらいリークは出ますが、ずっと出続ける場合は気胸を考えます。

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

呼吸性移動とエアリークの組み合わせは以下の通りです。

  • 呼吸性移動(+)、エアリーク(-)
  • 呼吸性移動(+)、エアリーク(+)
  • 呼吸性移動(-)、エアリーク(-)
  • 呼吸性移動(-)、エアリーク(+)

1つずつ見ていきます。

呼吸性移動(+)、エアリーク(-)

気胸などが存在せず、ドレーンの先端がちゃんと胸腔内にある状態です。

呼吸性移動(+)、エアリーク(+)

ドレーンをいれた直後は、通常みられる状態なので問題ありません。

ずっとこの状態が続くなら、気胸がずっと存在するということです。

呼吸性移動(-)、エアリーク(-)

良いケースと、良くないケースがあります。

良いケースとしては、気胸が治癒して肺が十分に広がった状態。

肺が広がったため、ドレーンの先が肺に当たった状態です。

レントゲンを撮影すれば分かります。

良くないケースとしては、ドレーン内が詰まるとか、どこかで折れ曲がっています。

ドレーンチューブを観察してみましょう。

呼吸性移動(-)、エアリーク(+)

通常は起こりません。

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む、難しい・・

分かりますでしょうか。ドレーンバッグでも難しい内容なので、分かりにくければ繰り返し見てください。

呼吸性移動は、胸腔内の圧の変動がドレーンバッグに反映されている状態。
リークは、つまりは胸腔内からドレーンバッグに空気が漏れている状態。

ここから先は分かりやすくなってきます。

ドレーンバッグの異変?【排液】

血性

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

少量のみならドレーン留置に伴うもので問題ないです。

あまり大量ならドレーン留置の際の血管損傷を疑います。

膿胸の場合は、後半は淡血性になることもあります。

膿性

胸腔ドレーン ドレーンバッグ 排液 水封 ウォーターシール 吸引圧制御ボトル エアリーク 呼吸性変動

感染の合併を疑います。

排液が急に減った時

ドレーンの詰まり、曲がりなどを疑います。

ドレーンバッグの異変?【感染徴候】

以下の場合は感染の合併があるかもしれません。

  • 排液が膿性になったとき
  • ドレーン挿入部の発赤・腫脹
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ドレーンを留置しているとき、患者・ドレーンの管理はどうしたらいい?

では、次はそれを見ていきます。

胸腔ドレナージの管理【患者/胸腔ドレナージの観察項目】

患者の観察項目

患者の観察項目としてはこれらがあります。

  • バイタルサイン
  • 呼吸状態:呼吸困難、呼吸音など
  • 挿入部:腫れ、発赤、疼痛など
  • 皮下気腫
  • 検査データ:白血球、CRPなど
  • 不眠や苦痛など

胸腔ドレーンに特徴的なのは皮下気腫です。

これは、胸腔内の空気が皮下に漏れ出したもの。

皮膚を触るとプチプチする感覚があります。雪を握った感覚に似ているので「握雪感」と言います。

マーキングして変化しないか確認しましょう。

時々かなり広範囲に出る方がいますが、命に別状をきたすものではありません。

チェストバンドなどで症状を緩和します。

胸腔ドレナージの観察項目

以下のものがあります。

  • 呼吸性移動:水封室の液面が上下しているか
  • リーク:水封室に泡がぶくぶく出ているか
  • 吸引圧制御ボトル:吸引圧、少量の泡が出ているか
  • ドレーンのねじれ・閉塞
  • 正しい高さに設置されているか:ドレーンバックは身体よりも20㎝以上低くする
  • ドレーンの接続が外れていないか

それぞれ分かりづらければ、[ドレーンバッグの異変?【呼吸性移動とリーク】]を復習してみてください。

胸腔ドレナージの管理

以下のものがあります。

  • 胸腔ドレーンの注意点を患者に説明する:抜けないようにする、チューブを圧迫しないようにする
  • 毎日、無菌操作で包帯を交換する
  • 排液がいっぱいの時はドレーンバッグを交換する
  • 閉塞している徴候があるときはミルキングを行う

ミルキングとは、チューブの中の血液や排液を、手で揉んだり専用のローラーで流してあげることです。

胸腔ドレーンの注意点

以下の点に注意しましょう。

  • 移動の時などでチューブが抜けないようにする
  • 抜けた時は、空気が胸腔に流れ込まないように抜けた部分を抑えて、助けを呼ぶ
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いよいよドレーンを抜くって言われた!

では最後に、ドレーン抜去に関して解説します。

胸腔ドレーンの抜去

ドレーンを抜去する基準

疾患によって変わってきます。以下が目安です。

  • 気胸:リークがない、レントゲンで肺が広がっている
  • 胸水:排液量が200ml/日以下
  • 膿胸:十分に排膿でき、排液も漿液性になってきた

抜去の手順

挿入する時に比べて抜去は簡単です。

  • 固定していた糸を切断する
  • 息を止めてもらう
  • ドレーンチューブを抜去し、創部を縫合する

抜去後の観察項目

抜去後も状態に変わりがないか、観察しましょう。

  • バイタルサイン
  • 呼吸状態
  • 創部の感染兆候や出血

まとめ

いかがでしょうか。難しいところもあったかと思うので、最後にまとめておきます。

  • 水封室;患者側への空気の逆流を防いでいる。シンクの下にある曲がったホースと同じ原理。
  • 吸引圧制御ボトルの役割:吸入圧を一定に保つこと。
  • リーク:胸腔内からドレーンバッグに空気が漏れている状態
  • 呼吸性移動:胸腔内の圧の変動がドレーンバッグに反映されている状態。

このあたりが分かれば、ドレーンバッグの対応はバッチリです。参考になった方は、明日からの仕事に活かしてみて下さい!

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何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。

というわけで、クイズを用意してみました。

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もっと気軽に見たい

もっと気軽に見られるよう、Instagramでも投稿しています。

  • Instagramでの投稿はこちらからご覧ください。
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もっと得意になりたい

さらに得意になりたい人は、書籍で学んだり、適切な働く環境に身を置くことが大事です。どんな症例が経験できるか、まわりの人間関係などで、力がつけられるかは大きく変わります。

この記事は[Up To Date / Thoracostomy tubes and catheters: Management and removal]も参照して書きました。