喀痰とは?喀痰で行う検査は?去痰薬は?【呼吸器内科医が解説】 | コキュトレ
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喀痰とは?喀痰で行う検査は?去痰薬は?【呼吸器内科医が解説】

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2023年2月13日 (更新日:2023年2月14日)
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喀痰の原因には何がある?

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喀痰で行う検査は?

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どうやって治療する?

こういった疑問にお答えします。

この記事の内容

  • 喀血の原因
  • 血痰で行う検査
  • 去痰薬について

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医
  • 2022年 呼吸器内科指導医

この記事では、呼吸器内科12年目の筆者が、喀痰での診療に必要な情報を解説していきます!

日本呼吸器学会の[咳嗽・喀痰のガイドライン2019]を基にしました。医療従事者むけの内容です。担当患者さんに当たった方は、ぜひ参考にしてみてください。

  1. 喀痰とは
  2. 喀痰の原因
  3. 喀痰の見た目で考えること
  4. 喀痰の検査
  5. 治療
  6. まとめ

喀痰とは

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そもそも、喀痰って何?

ガイドラインを見ると、「下気道から気道外に喀出された気道分泌物の総称」って書かれています。

正常な人でも少しは出るものです。気道表面の細胞から産生されたムチンが主成分で、これに脂質や電解質などが少量まじって出来ます。

機序を詳しくかくとややこしくなるし、実際働いててそんなに必要な知識じゃないです。なのでこの辺りはさほど気にしなくてもOKです!

で、これが各種の疾患で増加して、喀痰という形でたくさん出てくるんですね。

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じゃあ、喀痰はどんな病気で増えるの?

次でそこを解説していきます。

喀痰の原因

ガイドラインの表をここでお見せします。

急性上気道感染35%
急性下気道感染29%
気管支喘息10%
COPD8%
不明8%
肺癌6%
気管支拡張症2%
肺塞栓症1%
結核0.4%
出典:咳嗽・喀痰のガイドライン2019より血痰・喀血の原因

1位の急性上気道感染は、声帯より上の感染。風邪とか、副鼻腔炎とかですね。2位の急性下気道感染は、声帯より下の感染。いわゆる、肺炎です。

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それぞれの病気で、痰の見た目も変わってくるの?

喀痰の見た目で考えること

こちらもガイドラインの表をお見せします。

性状、色調原因疾患
粘液性気管支炎、COPD、気管支喘息
漿液性ARDS、肺水腫
膿性気道感染症、肺炎、COPDの増悪、気管支喘息発作
緑色緑膿菌感染
オレンジ色レジオネラ
鉄さび色肺炎球菌感染症、肺吸虫
苺ゼリー状クレブシエラ肺炎
黒色、褐色真菌
鮮紅色、黒褐色血痰、喀血
出典:咳嗽・喀痰のガイドライン2019より

ただ、この色の痰が出たから絶対この病気ってわけじゃありません。逆に、この病気だから絶対この病気ってわけでもありません。あくまで、参考くらいにしておいて下さい。

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見た目で判断できないとしたら、どんな検査をしたらいいの?

はい、なので次は検査の内容を紹介します。

喀痰の検査

おもにこんな検査があります。

  • 細菌検査
    • グラム染色
    • 抗酸菌塗抹・培養
  • 細胞診

感染が疑わしい時は細菌検査です。

通常の細菌性肺炎ならグラム染色ですね。結核などを疑う場合に抗酸菌塗抹・培養を行います。しっかりと検査できるよう、唾液じゃなくて粘液線分の多い喀痰を頑張って出しましょう。

細菌性肺炎、結核は別の記事で解説しています。よければ参考にしてみて下さい。

肺癌を疑う時に喀痰の細胞診を行うことがあります。ただ、実際には喀痰で悪性細胞が見つかることはそんなに多くないです。ちゃんと検査をするなら、気管支鏡や手術での生検が必要です。

何らかの理由で気管支鏡などが行えない場合とかに、喀痰細胞診はもし陽性になったらラッキーみたいな感覚で行う検査と思っておきましょう。

治療

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痰を出すにはどんなものがある?

根本的には、原因となっている疾患を治すことです。

ここではそれとは別に、症状を和らげるための治療を紹介します。

去痰薬

痰きりの薬、去痰薬ですね。

作用治療薬使う場面
粘液溶解ムチンを分解して痰の粘調性を低下ビソルボン™(ブロムヘキシン)、ムコフィリン™(アセチルシステイン)、ペクタイト™、チスタニン™ネバネバでキレが悪い
粘液修復粘液成分を正常化させるムコダイン™(カルボシステイン)ネバネバでキレが悪い、サラサラで量が多い
粘液潤滑サーファクタント分泌を促進ムコソルバン™(アンブロキソール)、ムコサール™(アンブロキソール)ネバネバでキレが悪い
杯細胞の抑制痰の分泌を抑えるマクロライド系抗菌薬、クリアナール™、スペリア™ネバネバでキレが悪い
出典:咳嗽・喀痰のガイドライン2019より一部改変

こんなたくさんの情報見せられてもおぼえられないですよね。あと、「ムコなんとか」って名前だらけなの、何とかしてほしいなぁってよく思います(笑)胃薬でも似たようなのがあるし、覚えやすそうで覚えにくいんですよね。

ポイントは、サラサラで量が多い痰はムコダイン™(カルボシステイン)っていうこと。

あと、マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン)は慢性気管支炎に使われるってこともポイントです。例えば肺癌による痰とか、明らかに他の原因がある時には使わないです。胸部CTで気管支炎がある時に使います。

体位ドレナージ

痰のある部分を上に持ってきて、重力に従って痰を口元に持ってくるって方法です。図で示すとこんな感じ。

体位ドレナージは別記事でも解説しています。興味ある方はこちらもご覧ください!

まとめ

それでは内容を振り返ります。

  • 喀痰の原因で多いのは急性上気道感染、急性下気道感染、気管支喘息、COPDあたり。
  • 見た目から原因は特定できない。
  • 状況に応じて細菌検査、細胞診など行う。
  • 喀痰の性状に応じて去痰薬を使い分ける。

このあたりが分かれば、喀痰に必要な知識はバッチリです。参考になった方は、明日からの仕事に活かしてみて下さい!

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何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。

というわけで、クイズを用意してみました。

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