COPDの胸部CTの所見【結論:全体的に真っ黒】※医療者むけ | コキュトレ
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COPDの胸部CTの所見【結論:全体的に真っ黒】※医療者むけ

  • 医師
  • 放射線技師
  • 看護師
2021年7月23日 (更新日:2021年8月2日)
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COPDの胸部CT所見って具体的にどう見えるの?

こういった悩みに答えていきます。

執筆者:ひつじ

  • 2009年 研修医
  • 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
  • 2017年 呼吸器内科専門医

これを読むと、以下のことができるようになります。

  • COPDっぽい所見がわかるようになる
  • 蜂巣肺といった紛らわしい他の病気の可能性もわかる

医師以外にもわかるように書きました。胸部CTを見る機会がある研修医、看護師、コメディカルはぜひ参考にしてみだください。

  1. 結論:全体的に真っ黒(低吸収領域)
  2. そのほかの所見:気管支の肥厚、肺動脈の拡張
  3. 他の鑑別疾患【全体的に黒い胸部CTを見かけたときに考えるもの】
  4. まとめ

結論:全体的に真っ黒【低吸収領域(LAA:Low Attenuation Area)】

遠慮せずに表現すれば、「全体的に真っ黒く映る」というのが結論です。

胸部CT、COPD
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どうしてそう映るの?

それには、COPDがどんな病気かってところから説明していきます。

COPDはどんな病気?

一言でいえば、「タバコの影響で肺胞がこわれたり、細い気管支が厚くなる病気」です。

肺気腫

胸部CT、COPD

肺というのは、細かい肺胞という袋がたくさん集まってできています。

肺胞どうしの壁が壊れてしまい、一つの大きな袋になってしまいます。

この状態を肺気腫といいます。

慢性気管支炎

また、細い気管支が厚くなってしまいます。この状態が慢性気管支炎です。

そうすると、息がうまく吐けなくなってしまい、肺が膨らんで映ります。

胸部CTでは

胸部CTでは、小さな肺胞の壁のため、肺野も真っ黒というよりはややグレーに映ります。

それが、肺胞どうしの壁が壊れて一つの大きな袋になっているため、より真っ黒にうつります。

下の図を参考にしてみてください。

胸部CT、COPD
胸部CT、COPD

これを、低吸収領域(LAA:Low Attenuation Area)といいます。また、このように見える肺を気腫肺と言ったりもします。

これが、COPDで一番代表的なCT所見です。

COPDでは肺胞どうしの壁が壊れて一つの大きな袋になっているため、より真っ黒にうつる。 これを、低吸収領域(LAA:Low Attenuation Area)といいう。また、このように見える肺を気腫肺と言ったりもする。

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他にはどんな所見がある?

では、そこを解説していきます。

そのほかの所見:気管支の肥厚、肺動脈の拡張

気管支の肥厚

先ほど、COPDでは慢性気管支炎で細い気管支が厚くなると説明しました。

そのため、気管支の肥厚も見られる所見です。

一番代表的な所見は先ほどの低吸収領域です。しかし、低吸収領域があまりみられず、気管支の肥厚がメインな場合もあります。

  • 気腫型COPD(肺気腫病変優位型):低吸収領域が有意
  • 非気腫型COPD(末梢気腫病変優位型):低吸収領域があまりみられず、気管支の肥厚がメイン

例えば、下の図を比べると分かりやすいです。

胸部CT、COPD
胸部CT、COPD

肺動脈の拡張

胸部CT、COPD

COPDでは、肺胞での酸素濃度が低下し、肺胞の血管が攣縮して肺の血圧が高くなります。

また、息が吐けなくて肺胞が膨張し、その結果として肺胞の血管が圧迫されて、肺の血圧が高くなります。

いずれにせよ、肺高血圧、右心不全につながるわけです。

そうすると、肺の血液循環が悪くなり、肺動脈が拡張して見えるようになります。

低吸収領域があまりみられず、気管支の肥厚がメインのものもある

他の鑑別疾患【全体的に黒い胸部CTを見かけたときに考えるもの】

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紛らわしい病気はない?

低吸収領域ではないけど、全体的に黒い胸部CTとしてを見たときに鑑別に挙がる病気がこのあたりです。

  • COPD
  • 蜂巣肺を伴う間質性肺炎
  • 慢性過敏性肺臓炎
  • 気管支拡張症

いくつかポイントを説明します。

気腫肺と蜂巣肺の区別

蜂巣肺とは、肺胞の壁が全体的に分厚くなってしまい、中が抜けてしまうような感じ。

気腫肺では、肺胞の壁が壊れてしまうので、まったく別のことが起こっているわけです。

表にするとこうなります。

肺気腫蜂巣肺/空洞
壁がない壁が1mm以上
線維化なし線維化あり

では、実際のCTでの違いを見てみましょう。

胸部CT、COPD
胸部CT、COPD

間質性肺炎の蜂巣肺、慢性過敏性肺臓炎との違い

胸部CT、COPD

間質性肺炎、慢性過敏性肺臓炎は、肺胞壁が厚くなる病気です。

そのため、このような違いになります。

  • COPD:壁がない
  • 間質性肺炎:壁がある

慣れるとたいてい迷いませんが。しかし、時々本当に紛らわしのもあります。

だいたい、肺胞壁が1mm以上あれば間質性肺炎

気管支拡張症との違い

気管支拡張症では、その名の通り気管支が広がって見えます。

COPDとの違いは、

  • COPDでは肺野全体が黒いが、気管支拡張症は気管の部分のみ
  • COPDは周囲に壁が見られないが、気管支拡張症では周囲に気管支壁がみられる

蜂巣肺を伴う間質性肺炎、慢性過敏性肺臓炎でも黒く抜けて見えるが、COPDと違い肺胞壁が線維化して厚く見える。

まとめ

それでは、内容を振り返ります。

  • COPDでは肺胞どうしの壁が壊れて一つの大きな袋になっているため、より真っ黒にうつる。
  • これを、低吸収領域(LAA:Low Attenuation Area)といいう。また、このように見える肺を気腫肺と言ったりもする。
  • 低吸収領域があまりみられず、気管支の肥厚がメインのものもある
  • 蜂巣肺を伴う間質性肺炎、慢性過敏性肺臓炎でも黒く抜けて見えるが、COPDと違い肺胞壁が線維化して厚く見える。
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何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。

というわけで、クイズを用意してみました。

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もっと得意になりたい

さらに得意になりたい人は、書籍で学んだり、適切な働く環境に身を置くことが大事です。どんな症例が経験できるか、まわりの人間関係などで、力がつけられるかは大きく変わります。

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勉強会での準備が大変

勉強会の準備って、とにかく大変ですよね。準備自体が自分のためになるのは分かるけど、たいてい10時間以上かかったりするし。

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