病棟で誤嚥性肺炎の患者さんを担当したけど、どこに注目していいか分からなかった。もっと上手く動けるようになりたい。
こういった疑問を解説します。
執筆者:ひつじ
- 2009年 研修医
- 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
- 2017年 呼吸器内科専門医
今回の記事では、誤嚥性肺炎自体を簡単に解説した後、看護計画も紹介します。
この記事を読むと、どんな病気か、看護で必要な項目が分かるようになります。
不安な病棟の新人さんは、ぜひ参考にしてみてください!
- 結論…の前に誤嚥性肺炎をおさらい:症状、要因、予防法、治療、生命予後
- 誤嚥性肺炎は治るのか?【誤嚥性肺炎は、患者さんの人生そのもの】
- 誤嚥性肺炎で必要な看護計画:観察項目(OP)、ケア項目(CP)、教育項目(EP)
- まとめ
結論…の前に誤嚥性肺炎をおさらい:症状、要因、予防法、治療、生命予後
症状
発熱や痰などの通常の肺炎の症状に加え、高齢によるなんとなく元気がないといった症状がよく見られます。
要因
誤嚥性肺炎を起こしやすい要因としては、高齢者、脳卒中、神経筋疾患などが挙げられます
予防法
誤嚥性肺炎の予防法には、食事、姿勢、口腔ケア、薬物療法、ワクチン、嚥下機能訓練などがあります。
嚥下訓練、嚥下評価は別記事[嚥下機能評価の方法まとめ【訓練法、治療法もあわせて解説】]でもっと詳しく解説しています。気になる方はご覧ください。
治療
誤嚥性肺炎は口腔内細菌が関与していることが多いので、嫌気性菌のカバーとしてユナシン™(スルバクタム系アンピシリン)がよく使われます。
食事は原則、とろみのある水やゼリー程度でも経口摂取を続けたいです。胃瘻・CVポートは個々の患者さんによって決定されますが、目安としては以下のものです。
- 大前提は、患者さんやご家族の気持ちです
- 再び食事ができるようになる可能性がある場合は、胃瘻やCVを検討する
- 将来食べられなくなる可能性が高い場合は、胃瘻やCVを検討しない
生命予後
誤嚥性肺炎では、嚥下機能の低下が根本的な原因です。そして、嚥下機能は高齢などでもどらないケースが多いです。
そのため、誤嚥性肺炎は一度起こると繰り返してしまいます。予後が不良ということが多いです。
誤嚥性肺炎は治るのか?【誤嚥性肺炎は、患者さんの人生そのもの】
ここ、誤嚥性肺炎で一番のポイントです。
リハビリなどで嚥下機能が回復すればいいのですが、そうで場合、「誤嚥性肺炎は終末期が近いことを示す一つのサイン」とも言えます。実際、嚥下機能が回復しないという患者さんが多いです。
最後に患者さんがどんな食事をしたいかを考えることも重要です。でも、食事をすれば肺炎のリスクもなってしまうし。また、その食事は、ミキサー食などで自宅では用意できないこともあります
そう考えると、誤嚥性肺炎は、患者さんが患者さんの残りの人生の生き方、大切にしていること、家族のケアも全て含めた病気です。患者さんの人生そのものと言うこともできるかもしれません。
誤嚥性肺炎の詳細は[別記事]でもっと詳しく解説しています。気になる方はご覧ください。
誤嚥性肺炎で必要な看護計画:観察項目(OP)、ケア項目(CP)、教育項目(EP)
誤嚥性肺炎での看護目標は、「誤嚥による合併症の予防」「安全で楽しい食事の確保」「栄養状態の維持」「口腔内の清潔と感染防止」などです。
観察項目(OP)
以下のものがあります。
- バイタルサイン(血圧、脈拍、体温、SPO2)
- 呼吸状態(肺の雑菌、喘鳴、呼吸数、喀痰の量と性状)
- チアノーゼの有無
- 体重
- 食事前の覚醒状況
- 食事での姿勢、声質
- 食事時間の観察
- ムセの観察
- 食後に口腔内の残渣が残っていないか
- 食後に逆流があるか
- 食事に対する不安、意欲、食欲の有無
- 吐き気・嘔吐の有無
- 血液検査(低栄養、感染があるかなど)
- 胸部レントゲン
ケア項目(CP)
ケア項目では以下のものがあります。
- 食事形態と食事内容の選択(とろみをつけるなど)
- 食事の際の覚醒状態を確認する
- 誤嚥しにくいよう、食事の時は可能な限り上半身を起こす
- 首を前屈すると誤嚥を起こしにくい
- 必要に応じて吸引を行う
- 食事の量と速度に注意する
- 口腔内をきれいにする(保湿)
- 必要に応じて言語聴覚士による嚥下訓練を依頼する
- 管理栄養士またはNST(栄養サポートチーム)と協力して、飲み込みやすい食品を検討する
- 経管栄養の際は30℃以上のギャッジアップを行い、注入速度にも注意する
教育項目(EP)
教育項目では以下のものがあります。
- 口腔を清潔に保つように指示する
- とろみやソフト食やゼリーなど、入院中の食事状況に応じて食事の内容を指導する
- 一回あたりの口に含む量を減らし、ゆっくりと食べるように指示する
まとめ
いかででしたでしょうか。
このあたりが分かれば、誤嚥性肺炎の看護で必要な観察項目はバッチリです。参考になった方は、明日からの仕事に活かしてみて下さい!
何となく分かった気もするけど、覚えられない。多分明日には忘れてる。
というわけで、クイズを用意してみました。
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オススメの本はない?
- 結核を書籍で学びたい人は[誤嚥性肺炎を学ぶのにオススメの本5選【2022年版】]もご覧ください。
この記事は[誤嚥性肺炎50の疑問に答えます/金芳堂][嚥下障害、診られますか?/羊土社]を参考にして書きました。