結核の患者さんを持つことになったけど、難しくて分からないなぁ。なにかいい本ないかなぁ。
こんな疑問に答えます。
執筆者:ひつじ
- 2009年 研修医
- 2011年 呼吸器内科。急性期病院を何か所か回る。
- 2017年 呼吸器内科専門医
結核ってなかなか複雑で難しい上に、感染対策とかも含んでセンシティブなところもあります。
勉強するもの結構他の感染症と比べて大変ですよね。自分も専攻医のころはかなり悩んでいました。
そんな方の手助けになるよう、今出ている結核の本をざっと目を通してみました。改めて今オススメするならどの本がいいか、この記事でご紹介します。
kindleや楽天ブックスにあった口コミも合わせて紹介します。
非結核性抗酸菌症も併せてご紹介します。
- 医療者のための結核の知識 第5版 / 四元 秀毅
- 結核診療ガイド / 日本結核病学会
- 結核Up to Date: 結核症+非結核性抗酸菌症+肺アスペルギルス症 / 四元秀毅、倉島篤行
- 非結核性抗酸菌症診療マニュアル / 日本結核病学会
- 非結核性抗酸菌症マネジメント:咳と痰をどうみるか?〜リアルワールドでのコツと工夫 / 菊地利明、渡辺彰
- まとめ:結核・非結核性抗酸菌症の本のオススメはこれ!
医療者のための結核の知識 第5版 / 四元秀毅
結核の知識が網羅されていて、なおかつ読み進めやすいオススメの一冊
メリット
- 内容の網羅性と読みやすさの両立という意味では一番オススメ
- 値段も安い
- 何回も改定されていて、しっかりアップデートされている感じもある
デメリット
- 非結核性抗酸菌症もあるが、そちらはやや内容が薄め
- 潜在性結核感染症の内容も薄め
こんな人にオススメ
- すべての結核の診療に関わる人
- 病棟看護師でちらっと見るくらいの人なら、呼吸器や感染症の本の結核のページで十分かも。結核病院でがっつり関わるのなら読んだ方がよい。
値段、サイズなど
- 3740円、208ページ、B5サイズ、2019年発売
内容紹介
実践的でわかりやすい記述に定評があるロングセラー書籍の待望の改訂第5版。結核の疫学、病態生理、検査、治療、感染対策、発病予防に必要な知識がコンパクトにまとめられている。今改訂により非結核性抗酸菌症(NTM)症の記述が増ページとなった。感染症診療・管理の必携書。加えて、結核感染・発病リスクの高い免疫不全患者、高齢者、がん患者等の医療、ケア、リハビリテーションにかかわるすべての職種にも有用な1冊。
出典:Amazon
口コミ
この一冊あればいい
熟読しました。結核の全てを理解できる一冊です。非結核性抗酸菌症についても載っています。最後の方は具体的に症例をあげて載せていて分かりやすかったです。
読みやすい
基本的なことは網羅されているので、担当になったばかりなどに読むと役立つ
結核診療ガイド / 日本結核病学会
学会が出している公式情報
メリット
- 学会が出しているので診療の根拠として一番権威がある
- 安い
- ガイドラインとは違う、普通の結核の本。なので、ガイドラインにありがちな「無難なことしか書いてない」って感じでもない。
デメリット
- 非結核性抗酸菌症には触れられていない(後述の[非結核性抗酸菌症診療マニュアル]になります)
こんな人にオススメ
- 学会の公式情報を見たい人
値段、サイズなど
- 3300円、144ページ、B5サイズ、2018年発売
内容紹介
日本結核病学会編集.「結核診療ガイドライン」は,医療者および行政関係者における結核の診療指針として2009年より発行し,3年ごとに改訂を行っている.今版では書名を「結核診療ガイド」に改めたが,基本方針・内容は「結核診療ガイドライン(改訂第3版)」を踏襲し,外科治療の記載の充実,気管支鏡検査時の感染対策,救急診療における感染対策を追記するなど,最新の内容を反映,ブラッシュアップしている.
引用:Amazon
口コミ
臨床医全てにお勧めできると思います。
結核についての知識が詰まっている
結核Up to Date: 結核症+非結核性抗酸菌症+肺アスペルギルス症 / 四元秀毅、倉島篤行
結核、非結核性抗酸菌症、アスペルギルスがまんべんなく書かれている良書
メリット
- 結核、非結核性抗酸菌症、アスペルギルスも全部カバーできる
デメリット
- 値段が高い(3つの感染症を網羅しているのを考えればこんなもん?)
- 読みやすさは最初の[医療者のための結核の知識 第5版][結核診療ガイド]の方に軍配が上がります。
こんな人にオススメ
- 結核、非結核性抗酸菌症、アスペルギルスも全部学びたいという人
値段、サイズなど
- 10120円、301ページ、B5サイズ、2019年発売
内容紹介
多彩な結核の臨床像を整理し,関連病態として遭遇する機会の多い非結核性抗酸菌症,肺アスペルギルス症についてまとめた好評書,待望の最新改訂版.デラマニドやベダキリンといった耐性結核に対する新薬の登場,LTBI(潜在性結核感染症)について,IGRA(インターフェロン-γ遊離試験)の保険適用,日本結核病学会などによる各種指針など,この領域の著しい進歩を盛り込み,今後の結核診療に一層役立つ内容へUp to Date.付録として掲載写真をweb上で公開.
引用:Amazon
口コミ
一般病院にいても結核治療をしないといけない場面に遭遇しますが、普段あまり扱っていないため、なんとなくわかっていてもいざとなるとどうしていいかわからないことにたくさん遭遇する。そんな時、この本を開くと、先達のありがたい重厚な副作用対策などが書いてある。とにかく長期間の専門家の知識の凝集です。
非結核性抗酸菌症診療マニュアル / 日本結核病学会
非結核性抗酸菌症では国内トップクラスにまとまっている一冊
メリット
- 非結核性抗酸菌症のみでまとめているのはあまりないので貴重
- 安い
- 学会が出しているので権威もある
- ガイドラインとは違う、普通の結核の本。なので、ガイドラインにありがちな「無難なことしか書いてない」って感じでもない。
デメリット
- 結核には触れられていない(先述の[結核診療マニュアル]になります)
こんな人にオススメ
- 非結核性抗酸菌症をちゃんと学びたいすべての人
値段、サイズなど
- 3300円、152ページ、B5サイズ、2015年発売
内容紹介
非結核性抗酸菌症の基礎知識、診断、治療をまとめた一冊。これまで蓄積されてきた研究データをもとに、最新のエビデンスを踏まえた診療エッセンスを紹介。
印欧:Amazon
口コミ
非結核性抗酸菌症についてまとまっている本は少なく、価値のある本かと思います。
患者数が少ない疾病のため、詳しく解説した本がないので、今回のマニュアルは非常に参考になった。 特効薬がないので、免疫力と体力をつけて、経過観察するしか対処方法はないらしい。 一日も早く特効薬が開発されることを祈るばかり。
非結核性抗酸菌症マネジメント:咳と痰をどうみるか?〜リアルワールドでのコツと工夫 / 菊地利明、渡辺彰
非結核性抗酸菌症を普段から見ている人が、日常悩むことを解決してくれる一冊
メリット
- 非結核性抗酸菌症はエビデンスに基づく知識のみではいろいろ悩むことも多いけど、そういった痒いところに手が届くような内容
デメリット
- 今から非結核性抗酸菌症の患者さんに関わりだすって人は、先述の[非結核性抗酸菌症診療マニュアル]の方がオススメ
こんな人にオススメ
- 普段から非結核性抗酸菌症の診療をしている人
値段、サイズなど
- 4950円、208ページ、B5サイズ、2020年発売
内容紹介
結核が減少傾向なのに対し、非結核性抗酸菌症は急増。プライマリケアでいつ遭遇してもおかしくない状況となっています。千差万別な経過をどう解釈して方針を決めるか、模擬症例も交えて実践的に解説。マネジメントの要点がわかります。13年ぶりに改訂されたATS/ERS/ESCMID/IDSAのガイドラインも踏まえて解説しました。
引用:Amazon
口コミ
参考になるけど、統計情報が足りない
知らなかった事を勉強出来、真面目に治療に取り組まねばと言う決心が出来ました。書いてあるところもあるのですが、文中に各研究のn数や95%信頼区間は、もっときちんと書いて欲しかったです。そうでないと、文中の数値をどのように統計学的に解釈して良いか、分かりません。
まとめ:結核・非結核性抗酸菌症の本のオススメはこれ!
結核を学ぶのにまずオススメな一冊はこちら
医療者のための結核の知識 第5版 / 四元秀毅
内容の網羅性、読みやすさ、価格など合わせるとこれが一番オススメです。
なお、病棟看護師や薬剤師で結核患者さんがたまにいるくらいなら、呼吸器や感染症の本の中の結核のページで十分かもしれません。深く関わる人は読んでおくのがオススメです。
アスペルギルスとかまで見たい人は[結核Up to Date: 結核症+非結核性抗酸菌症+肺アスペルギルス症]の方がいいです。
非結核性抗酸菌症を学ぶのにまずオススメな一冊はこちら
非結核性抗酸菌症診療マニュアル / 日本結核病学会
学会が出している本にしてはかなり読みやすいです。何より、非結核性抗酸菌症の本自体がそんなにないし貴重です。詳しく知りたいにはオススメです。
普段から非結核性抗酸菌症を見ていて、一通り知識がある人がさらに深めるには、[非結核性抗酸菌症マネジメント:咳と痰をどうみるか?〜リアルワールドでのコツと工夫]の方が合っています。
以上、参考になれば幸いです!